本書の初版は2003年・陰陽師ブームの時である、9回の版を重ね増補改訂版を発刊した、日本文化の源流を考察、著者は稲田義之、立正大学大学院文学研究科修士課程修了、現在は茨木県立高等学校教諭、専攻は哲学、陰陽五行のほか東洋思想・西洋思想にも造詣が深い、
不朽の思想・陰陽五行
1貴人の色と陰陽五行、東京スカイツリーを照らす紫は貴人の色ではない、天皇の鎮座する場所を意味する紫宸殿、2大都市と風水と陰陽五行、なぜ大阪や名古屋は首都にならないのか、セーヌ川によって繁栄が約束されたパリ、3五色不動と陰陽五行、京都に現存する「三不動」、江戸の五色不動は都市伝説、白紫色の龍が守護する東京スカイツリー、4開運・観光スポットめぐり、唯一の日本由来の神・恵比寿、インド由来の大黒天と毘沙門天、実在していた太鼓腹の布袋、お散歩感覚でできる七福神めぐり、一カ所で七福神めぐる寺社、
陰陽五行とは何か
第一節、陰陽説の起源を求めて、1陰陽説の起源①、陰と陽からイメージできるもの、「六気」の要素に過ぎなかった陰と陽、2陰陽説の起源②、陰陽説と易との関係、文字は刻まれていなかった「河図」、3三皇とは誰なのか、下半身が蛇の姿をした夫婦、最初に毒見をした人物・神農、炎の神でもあった神農、「三皇五帝」から造語された「皇帝」、4「周易」の成立、周易成立に関わる二つの有力説、5易の語源と三義、易とはトカゲのこと、本来易とは簡単なものだった、6そもそも易とは何なのか、政治に直結し始める易、色濃く見られる儒教の影響、7易に組み込まれた陰陽説、柔と剛という二元論、
第二節、五行説の起源を求めて、1五行説の起源①、書経に登場する水火木金土、2五行説の起源②、洛水から現れた亀、3五行は何を意味するのか、五が意味するもの、天に与えられた五つの道具、4五行相克説とは何か、時令思想と相克論、循環する木土水火金、5王朝交代の原理としての五行相克説、火の王朝をを倒した水の王朝、6五行相克説とは何か、木土水火金から木火土金水へ、王朝交代の原理としての五行相生説、7時令思想と五行説、まったく関係のなかった時令思想と五行説、ご都合主義で利用された王朝交代の原理、8五行説の体系化①、十干と結びついて時を支配する五行説、循環という発想に適した五行相生説、9五行説の体系化②、音楽・味覚・内臓への五行配当、黄巾の乱の黄巾賊は・なぜ黄色をシンボルにしたか、
第三節、陰陽五行説の成立と道教への影響、1陰陽説と五行説がむすびつき何がうまれたか、宇宙のあらゆるものを生み出す太極、2道教の源流には何があったか、日本版陰陽道に影響を与えた道教、太平道と五斗米道、3道教とは何か、中国思想のブレンドジュース、4道教の神々、人気を集める老子、生と死をつかさどる二人の神、
第四節、五行大義と陰陽五行、1五行説~五行体性論、五行は姿形によって規定される、①五行の木とは何か、五行体制論・木の体と性について、天人相関・五行の木の意外な解釈、②五行の火とは何か、五行体性論・火の体と性について、天人相関・五行の火の意外な解釈、③五行の土とは何か、五行体性論・土の体と性について、天人相関・五行の土の意外な解釈、④五行の金とは何か、五行体性論・金の体と性について、天人相関・五行の金の意外な解釈、⑤五行の水とは何か、五行体性論・水の体と性について、天人相関・五行の水の意外な解釈、3意外と知られない五行と数との関係、五行数論、①数の根本は五に尽きる、②なぜ水が一・火が二・木が三・金が四・土が五なのか・五行生数論、③なぜ水が六・火が七・木が八・金が九・土が十なのか・五行成数論、④天が地上に与えた数は六ではなくて五となるわけ、
陰陽五行の知られざる世界
第一節、生死所論とは何か、1五行の生死について、五行の生と死のめぐり方、めぐり方に寄行がある土、2古代中国の合葬と別葬、①古代中国の別葬について、別葬があたり前だった古代中国、②古代中国の合葬について、母子関係・相克関係は合葬できない、
第二節、奥深い陰陽五行の五行相性論、1五行休王論とは何か、①五行休王論・五行の木、②五行休王論、五行の火、③五行休王論・五行の土、④五行休王論・五行の金、⑤五行休王論、五行の水、2支干休王論とは何か、時季をめぐる五つの組み合わせ、完全に剋される五行と支干、3ハ卦休王論とは何か、時季に応じてめぐる八卦、
十干と十二支と陰陽五行
第一節、十干と暦の深い関係とは、1十干の起源とその意味、指を折って日を数える習慣、2十干と陰陽五行配当、十干と五行配当、十干と陰陽配当、植物の成長過程から見た十干、
第二説、陰陽五行と十二支、1十二支の起源とその意味、木星の公転周期は十二年、十二支に動物を割り当てた理由、2十二支と陰陽五行配当、陰陽五行説と結びつくことで生じた意味、
第三説、支干とは何か、1十干の由来と別号について、隠された別の漢字表記とは、2十二支の由来と別号について、①子と丑、②寅と卯、③辰と巳、④午と未、⑤申と酉、⑥戌と亥、
暦と時と卜と
第一節、暦の起源とその後、1暦の起源と役割、星を見て農事暦を知る、2暦の種類、地面に立てた棒の影が示す太陽暦、太陰暦では太陽暦より一年が十一日短くなる、大の月・小の月を設けた太陰太陽暦、3旧暦3旧暦から新暦への転換、旧暦=太陰暦ではない、改暦で人件費削減に成功した明治維新政府、
第二説、時刻の起源とその後、1時刻の起源と役割、天智天皇の漏刻、2時刻と十二支、半ドンの意味は、3四季について、①木・火の四季と方位、②土の四季と方位、③金・水の四季と方位、
第三説、六十干支と占い、1六十干支と空亡とは何か、十干十二支の組み合わせ、組み合わせにあぶれた二つの支、占いに時は使えない、時を意味するのは二十四節気、2空亡論、狐と虚から成り立つ空亡、もともとは軍を動かす術だった、日時とほういの凶を知る空亡占い、3納音占いとは何か、陰陽師の占術・納音占い、
陰陽五行と方位
第一節、方位の起源とその意味、1十二支・易と方位、鬼が出入りする丑寅の方角、2方位と易との深い関係、十六方位を八卦で指し示す、3方位とと陰陽五行、気が満ちる方位を示す十二支、「ラッキーカラーはゴールド」は嘘、4四神相応の思想と日本の都市建設、四方を守護する四聖獣、鴨川の流れを矯正して四神相応を完成させた平安京、なぜ徳川慶喜は最後の将軍になったのか、木を植えて四神相応の地をつくってみる、「筩簋内伝金烏玉兎集」の誤記、
第二説、方位と風水と家相と、1中国の風水と日本の家相、三種類を駆使する中国の風水、日本独自に発展した家相学、2家の方位の測定法、方向は向きのことを・位置は方位のことを指す、家の中心を知るには磁北を求める、3本命卦で福徳将来、4宅卦で開運、吉方位と凶方位で二グループに分かれる、次善の策として屋命相配と床命相配、5宅気で気の流れを整えよう、殺気には家具を・洩気には厚手のカーテンを、6家相のしくみとその活かし方、張りは吉作用・欠けは凶作用、
第三説、方位と気の流れ、1八将神とは何か、2十二神将とは何か
日本版陰陽道の起源とその後
第一節、陰陽道日本上陸、1陰陽道の公伝、陰陽道はいつ日本へ伝播したのか、2山岳信仰と陰陽道、山岳信仰の聖地・金峯山、賀茂氏の陰陽寮独占体制への布石、3陰陽師の官僚化、為政者の「パシリ」にされる陰陽師、陰陽師の官位は決して高くはなかった、4中国陰陽道と日本版陰陽道の相違、点の支配と面の支配、権力者たちは卜による吉凶判断を望んだ、5陰陽道と政治との深い関係、陰陽五行説に通じていた聖徳太子、五行配当と五常、なぜ冠位は十階ではなかったのか、十七は陰陽の極数の和、日本人の精神構造を象徴する「調和」、6陰陽師の役割、式盤を使い十二神将を自在に操る、清明ブームが生んだ副産物、7日本版陰陽道の正体、人々の悩みに応える「何でも屋」、
第二説、密教と陰陽道との関係、1密教とは何か、考える道具を意味した「マントラ」、2密教に息づく陰陽五行、三歳にして字を書いた役小角、出発点において既に陰陽五行の洗礼を受けていた密教、
第三説、陰陽五行に支配された貴族文化、1方忌・方違え・物忌、塞がってしまった方位を避ける、家に籠り禍が通リ過ぎるのを待つ、2庚申と三尸、人間の悪事を天帝に「チクる」三尸、3北斗七星信仰と星祭り、運命星を祀ればあらゆる願いが実を結ぶ、本命星は生まれ年か生まれ月か、4五龍祭と請雨の法、空海が雨乞いに通じていた史実はない、家畜を生贄にした雨乞い法、
第四節、陰陽師列伝、1役小角、2賀茂忠行、3賀茂保憲、4安倍晴明、5蘆屋道満、6智徳法師、7吉備真備、8三善清行、9浄蔵10元真、11滋岳川人、12弓削是雄、
第五説、陰陽道のその後、1陰陽道の成立と発展、賀茂忠行に始まる陰陽道宗家、2陰陽道の発展と終焉、ライバル関係にあった賀茂氏と安倍氏、豊臣秀吉の逆鱗に触れる、国家公務員としての陰陽師の終焉、3民間陰陽道、時代を経て民間に漏れる陰陽道のノウハウ、民間陰陽道の秘術「砂まき」、陰陽道は万能ではない、4現代に生きる陰陽道、いまなお生き続ける「隠れ陰陽師」、神道に「転職」する陰陽師たち、
生きている陰陽五行
第一節、暮らしのなかの陰陽五行、1二十四節気とは何か、日本と中国でズレを生じるきせるか、日常生活に浸透した二十四節気、2土公神と土用、土用の間は土をいじってはならない、季節にまつわる数々のタブー、3五節句とは何か、五節句と牛頭天王信仰、七草の節句は人間を大切にする日、穢れを人形に託す「ひな祭り」、流れ星と牽牛は全くの別物、4牛頭天王信仰とは何か、牛頭天王=スサノウノミコト、夜叉さながらの容貌、奴隷女の恩に報いる牛頭天王、正月の門松は墓標、牛頭天王信仰と日本版陰陽道の深い関係、5餅まきと陰陽五行、なぜ餅まきの餅は焼いて食べてはいけないのか、6豆まきと陰陽五行、春の到来を阻むのは「金」、
第二説、日本文化に息づく陰陽五行、1日本昔話陰陽五行、五行説の循環を意味する「桃太郎」、2相撲と陰陽五行、ハッケヨイは「八卦よい」、3神楽と陰陽五行、五行説を忠実に再現する神楽、4古墳と陰陽五行、函館・五稜郭の周辺には「三陵郭」があった、5日本庭園と陰陽五行、東方に白石を立ててはならない、6茶の湯と陰陽五行、茶の薬理効果陰陽五行、茶の湯の水とりと陰陽五行、夜咄の茶事には花をもちいず、夜会のタブーを破った千利休、四畳半という小宇宙、7笛と太鼓と陰陽五行、笛が太鼓より先に奏でられる理由、能の決まり事から見えてくる新たな十二支循環、
第三説、東洋医学と陰陽五行、1東洋医学と整体観、陰陽五行の理にもとづく東洋医学、2東洋医学と陰陽論、健康維持に不可欠な陰陽のバランス、3東洋医学と五行説、五行を人体に配当する、
まとめ
陰陽五行とは何か、陰陽五行の知られざる世界、十干と十二支と陰陽五行、暦と時と卜と、陰陽五行と方位、日本版陰陽道の起源とその後、生きている陰陽五行で構成、陰陽五行説という過去の思想を甦らした、