第一次世界大戦は戦火が世界大に拡大、総力戦、軍事技術の発展、しかし日本にとっては大きな軍事的負担もなく、戦後は五大国の一員となった、本書は発端となった対独参戦にマトを絞り青島や南洋群島に検討したもの、著者は飯倉章、慶應義塾大学卒業、国際大学大学院研究科修士課程修了、現在は城西国際大学教授、
帝国主義時代の東アジア
ドイツの膠州湾租借―ドイツ皇帝自慢の功績、帝国主義に乗り遅れたドイツ、傲慢・奇矯な皇帝ヴィルヘルム二世、三国干渉とドイツ、膠州湾占領計画、止まらなかった膠州湾占領、膠州湾租借条約、租借の連鎖反応、膠州湾租借地の状況、
東アジアの大変動、義和団事件、日英同盟締結、日露交渉、日韓関係、日露戦争、日英同盟改定、清朝政府との難交渉、日露戦争後のドイツの孤立、辛亥革命、「東洋の真珠」青島、
第一次世界大戦の勃発と青島
大戦はなぜ起こったのか、大戦の起源、おわりのない議論、
青島と英独軍の交流、1914年の青島、青島への英独軍の親善訪問、天津の英独軍
7月危機と青島、サライェボ事件、ドイツの白地小切手、シュペーの対応、オーストリア海軍とオーストリア=セルビア戦争、青島での警戒、局地戦争のヨーロッパ戦争への拡大、福島安正の青島訪問、天津派遣部隊の移動、独海軍砲艦の冒険、不透明な敵に対する準備、
国際問題としての日本参戦
七月危機と英日参戦、大戦化を察知した日本外交官、イギリスの参戦過程と日本外交、楽観的なドイツの対日観、ドイツでの「日本対露参戦の風説」、警戒心を強めた中国、
日本の参戦決定、外相加藤高明、日英同盟の微妙な齟齬、中立に関する声明とイギリス参戦、日本参戦を望むロシア、イギリス参戦、イギリスのジレンマ、イギリスの限定的な参戦依頼、対独参戦を決めた閣議、参戦の最終決定、番町密議、国内向けの表現「同盟の情誼、
軋む日英外交、イギリスの軍事行動見合わせ依頼、グレイに寄せられた意見、加藤の反論、イギリスの参戦依頼理由の取り消し、グレイの本音、加藤の誤算と対応、グレイの参戦容認、グレイの方針変更の理由、チャーチル海相のコメント、大隈の巧みな輿論操縦、もつれ続けた日英関係、
独米中の動きと最後通牒、利用されたドイツ大使の言動、レックス発言の謎、アメリカの働きかけとドイツの対応、最後通牒の手交、膠州湾放棄という策、日本の青島占領を阻止したい中国、最後通牒の無視と開戦、
日本の参戦理由・目的と要因、負けない戦争、経済進出と領土欲の否定、平和のための戦争、国内事情からの参戦、国民的トラウマの解消、戦略的な理由、対中交渉材料としての青島獲得、むしろ弱体化した日英同盟、国際的な地位と国家威信、
ドイツ領南洋群島占領と日英海軍の連携
太平洋とドイツ植民地、太平洋のドイツ領、日米関係と日英同盟、オーストリアの対日警戒、
日英独海軍の展開、シュペーの意図、ジェラムの憤り、シュペーの決断、ドイツの通信網、グレイとチャーチル、日英海軍の協同と戦域制限解消、シュペー戦隊とエムデンの活躍、
なぜ日本海軍は南洋群島を占領できたのか、日本海軍による諸島の占領、ヤップ問題と外交危機、南洋群島占領の理由、
青島の戦いの実相
開戦前の青島の戦闘準備、青島の戦いを記した資料、青島の楽観と日本参戦、籠城戦の準備、独軍の情報・諜報網、中国人村の焼却と守備力強化、
青島沖の海での戦い、独英の青島沖海戦、日本海軍との小競り合いと青島封鎖、高千穂の撃沈、
陸軍上陸から総攻撃前まで、日本陸軍攻囲群と独軍、日本陸軍のベストメンバー、中立除外地域問題、山東半島を襲った豪雨、日本軍の上陸作戦、最初の日独戦死者、労山湾への上陸と前進、苦労した行軍、英軍の上陸と作戦調整、孤山・浮山ラインの戦い、飛行機の戦い、山東鉄道の占領、陣地構築と重砲の輸送、
青島要塞の攻略、独軍陣地と作戦計画変更、青島攻囲群の砲撃の特徴、攻撃陣地の構築、第二・第三攻撃陣地の構築、突撃前の急変、中央堡塁独軍の降伏、台東鎮東堡塁と小湛山北堡塁の占領、イルチス山陣地の悲劇、降伏の決断、停戦合意、青島陥落と漱石、
勝利の遺産と教訓
国際法と日独の戦い、日英独の死傷者、神尾の厳命と実際、「略奪」と捕虜私有物の強奪、残虐行為なき青島の戦い、現地中国人の被害、
日英協力の内実、異例の英陸軍低評価、戦わなかった英軍、現地のイギリス外交官の酷評、
青島の戦いの軍事的意味、生かされなかった戦訓、艦砲射撃の効果の低さ、日本兵の評価の変化、独軍に倣った作戦、青島独軍の戦い方、見過ごされた白兵主義の問題、「降伏」という選択肢、青島総督の降伏の決断、「人種戦争」としての日独戦争
関係者のその後、冷静沈着な神尾光臣、山梨半造のトラウマ、マイヤー=ヴァルデックのその後、歓待された社交将軍バーナージストン、捕虜たちと人道的措置、
山東半島のその後、対華21か条の要求と山東半島、山東問題の帰結
占領後の南洋群島、計画なき占領と委任統治、ナチスドイツ との領有権問題
まとめ
第一次世界大戦における日本参戦の啓蒙書である、その後の日本外交の起点がここにある、