本書はヒトとヒトをつなぐ中間商人の活動や地域を長期間にわたって追求したものである、著者は玉木俊明、京都産業大学経済学部教授、専門は近代ヨーロッパ経済史、
メそポタミアの商人ー世界で最初の商人
農耕の開始―世界の諸文明とメソポタミア文明、シュメール人の文化と農業、灌漑の発展でまとまった農民たち、都市の誕生、灌漑の問題点、アツカド王国とサルゴン一世、ウル第三王朝、バビロン第一王朝(古バビロニア王国)、アッシリア帝国、エラム文明と商人、ディルムンの商人たち、おわりにー中間商人が文明と文明をつないだ、
フェニキア人ー地中海貿易の覇者
フェニキア人とは何者か、数千年も使われたフェニキア人の広大な海上ネットワーク、交易都市ティルスの台頭、商業国家カルタゴの発展、ポエニ戦争、ローマ帝国の経済・商業の発展の基礎はカルタゴがつくった、おわりにーフェニキア人なくしてローマなし、
パルティアの商人ーシルクロードで大儲けしたローマ帝国のライバル
そもそもシルクロードとはどのような道だったのか、シルクロードの金、パルティアの歴史、中央ユーラシアとシルクロードの商人たち、アウグストゥスによる平和と経済成長、中間商人としてのパルティア人、パルティア人はなぜ重要か、おわりにー中央アジアの平和と中継貿易の発展、
イスラーム商人たちーコーランと商売
イスラーム教の創始から世界進出へ、アッバース革命とバグダードの繁栄、インドに渡ったイスラーム教、ダウ船貿易(インド洋交易で使用)、中国・インド・アフリカに広がる商売、モンゴル帝国の駅伝制、イスラーム勢力の東南アジア貿易、商業の復活とはなんだったのか、地中海交易の変貌、イスラーム勢力に囲まれたヨーロッパ、おわりにー一体性と寛容さ、
ソグド人ーシルクロードの立役者
ソグト人とソグト語、ソグト人の国際貿易の始動、ビザンツ帝国と中国ー五~七世紀前半の交易、唐が管理した商業ー通行証と商人保護、おわりにー中国との共棲関係、
イタリア商人・セファルディム・アルメニア商人ー地中海から世界へ
イタリアはそんなにも重要だったのか、イタリアでなぜルネサンスが生まれたのか、ユダヤ人セファルディム(イベリア半島を追放されたユダヤ人)とダイヤモンド、セファルディムと砂糖貿易、セファルディムのビジネス戦略、ユーラシア世界最大の中間商人ーアルメニア人、アルメニア商人の巨大ネットワーク、アルメニア人と産業革命、おわりにーヨーロッパを超えて、
ヴァイキング・ハンザ商人オランダ商人ー北の海の遺伝子
ヴァイキングー北のフェニキア人、ヴァイキングの商業圏、ノルマン人とデーン人、ヴァイキングと商業の復活、ヴァイキングの後継者ーハンザ同盟の商人たち、ロングシップからコッゲ船へ(ヴァイキングの衰退とハンザ同盟の台頭)、ハンザ都市の通行税、オランダはなぜ興隆したのか、おわりにー北海とバルト海の重要性、
ポルトガルとスペインー大航海時代の運び屋たち
スペインとポルトガルの世界分割、大航海時代はなぜ始まったのかーサハラ縦断交易、マリ帝国とソンガイ王国、ポルトガルの沿岸交易、イタリアとポルトガルの違い、スペインと新世界、砂糖とカカオ、中南米の銀の三つの輸送ルート、輸出される日本の銀、おわりにー巨大化する商業圏、
中間商人としての大英帝国ー運び屋から手数料ビジネス
消費財の増加、世界の工場、イギリス対オランダー海運業と航海法(航海法によりオランダ勢力を追い出す)、イギリスの海運業発展、ラテンアメリカ諸国とヨーロッパの」経済関係、中国の海上貿易を支配、なぜ非公式帝国(領有せず実質支配)があったのか、電信はどれほど重要だったか、電信が縮めた世界、手数料で大儲け、おわりにー収入が自動的に増加する世界、
領事から総合商社へー日本経済の発展を支えた組織
領事とは何か(国家が商人に情報を与える)、日本領事館の役割、総合商社の誕生、日本の産業革命と貿易商社、第一次世界大戦後~1920年代の貿易商社、両大戦間期の帝国主義政策ー植民地との関係、戦後の総合商社ー解散から復活へ、高度成長期ー資源・エネルギーの開発と輸入、石油危機から20世紀末までー日本からの離脱、21世紀バブルの後始末とリーマンショック、おわりにー世界で活躍する商社マン、
大英帝国・タックスヘイブン・IT企業ー中抜きされる社会
イギリスの国制は本当に複雑、密輸基地からタックスヘイブンへ、(ケイマン諸島を租税回避に利用)、王室属領の隠された利用法(租税回避行動)、イギリスの国制と金融の関係、イギリスのしたたかなタックスヘイブン優遇政策、税金を払わず巨額の利益をえるEU諸国の銀行、増大する無形資産への投資、租税回避とGAFAMの問題点(税負担回避)、おわりにーITは現代の中間商人、
まとめ
メソポタミアの商人、フェニキア人、パルティアの商人、イスラーム商人、ソグド商人、イタリア商人・アルメニア商人、ヴァイキング・ハンザ商人・オランダ商人、ポルトガルとスペイン、中間商人としての大英帝国、領事から総合商社、大英帝国・タックスヘイブン・IT企業で構成、世界は拡大し、移動を伴わないグローバリゼーションの時代に突入した、