本書で扱うアートに基づく創造とは、想像がもたらされるように物質や「わたし」を調整することである、それがどうゆうことなのかを解説したものである、著者は郡司ぺギオ幸夫、東北大学大学院理学研究科後期博士課程修了、現在は早稲田大学基幹理工学部教授、著書「生きていることの科学」他、
「天然表現」から始める
1外側と外部、インスピレーションを受け取る、外部と外側、2創造性はどのように考えられているか、ボーデンの創造論、価値の無限さ、3いやぁ死ぬことと思い出して眠れなかったわ、死の予感、スティングの脂汗、4トラウマと暴露療法、トラウマとストレス障害、津波におけるサバイバーズ・ギルド、持続暴露療法、暴露療法に抗う二重の困難、5創造とトラウマ・死の問題、朝の喧騒に茶を喫す、創造と癒し、
外部に出るために
1「ただ並べよ」という声、「とりあえず」の積極性、見たいものだけ見る・見たいように見る、書き割りと外部、2想定外へと踏み出す、蕎麦かラーメンか、蕎麦とラーメンの脱色、3トラウマ構造、肯定的矛盾と否定的矛盾の共立、肯定的矛盾の効用、4アートと日常、デュシャンの芸術係数、初めて食べるラーメンの意味
作品における穴
1小説に見出されるトラウマ構造、「意味」という綿毛、読書という降霊儀式・小説というその装置、2吉行淳之介の短編、「いのししの肉」に流れる日常、「いのししの肉」の構造、「いのししの肉」に見出される否定的矛盾、作家が構成するトラウマ構造、3保坂和志「ハレルヤ」における「キャウー」の意味、和菓子のように眠る猫、経験と理念の出会い・そして脱色、時間を変質させる「キャウー」、一日一日という永遠、4作家性という当事者性、完璧さと不完全さ、穴の積極性、穴において外部を召喚し・理解
脱色された日常
1箱庭的な記憶、庭の記憶、虫たちの記憶、誰もいなくなった庭、2一人称と三人称の捩れ、記憶の人称制、一人称的身体と三人称的身体、異質な身体の間の結び目、3天然表現の場所へ、人の時間・物質の時間、日常が成立し・日常が成立しない、はじまりのアート・その種、脱色される遺品、
虫でも人間でもない痕跡
1並べ・折り畳み・脱色する、虫たちの振舞い、こけしを並べる、ハンカチと靴下の作り出す表面、2岩松の中のオオミミズ、岩松のジャングル、喪服を引きずり・まるめ・自ら進む、家庭の中の虫ども、3皮膚をむしりとるようにダンボールをむしる、大量の段ボール・剥がし・引き裂き・ちぎる、4ギャラリーで展示する、空いている地下鉄、動画・写真・インスタレーションへ、インストール、5作ってみて確信された、生成の起源とはどのような問いか、当事者における確信、
完全な不完全体
1芸術は科学と同じなのか、フォーマリズムからミニマリズムへの変遷、形式化・物質化、作家は何を見ているか、科学の見るものと芸術の見るものの違い、2記号としての芸術の死、記号化・貨幣化、芸術の死・はたして、人間中心主義批判、3現代思想は芸術を救うのか、自然を取り込むことは可能なのか、現代思想における脱構築、外部を感じる者・感じない者、4完全な不完全体が担う作家性・当事者性・「わたし」、「完全な不完全体」の射程
、アガンベンの論じる作家性、完全な不完全体における作家性、作品の制作・鑑賞の当事者性と「わたし」の当事者性、
痕跡候補資格者
1今世紀最大の無名の画家・中村恭子「書き割り少女」、書き割り少女と世界拒否、ジョージアの画家・ピロスマニと書き割り少女、2なんだか・わからないが・「できた」、針金に苦闘し「穴」を見出す、九州へ上陸、思想家・シャルル・フーリエと天然知能、3フーリエの日々、過去を持たない痕跡、痕跡・すでにして生命、痕跡候補資格者の実装、4「フーリエの日々」の日々、鳥なのか虫なのか、鑑賞者は「外部」をとらまえるか、科学から芸術へ・ではなく・芸術から芸術へ
創造性はどこからやってくるか
1芸術鑑賞としての天然表現、鑑賞としての制作、2自然科学の天然表現、カウンターライトニング(魚の腹側の発光器で光の調正)思い付きで何が悪い、意識を突破する可能性、3日常に広がる天然表現、課題を解いてみる、九鬼周造の「いき」の構造、外部を召喚する日常の哲学へ、「儲け」に対するホドロフスキー・イエスだ
まとめ
天然表現から始める、外部へ出るために、穴、脱色された日常、虫でもない痕跡、完全な不完全体、痕跡候補資格者、創造性はどこからやってくるかを解説、創造体験をしてもらいたい