時代小説「稀代の本屋・蔦屋重三郎」で戯作者や絵師との交流を描いた、本書は取材メモなどをフル活用、蔦屋重三郎の発想と手法・業績を振り返る、著者は増田晶文、作家、同志社大学法学部法律学科卒業、著書「果てなき渇望」他、
概要
貸本屋から吉原細見の独占出版まで、つたのからまる、碑文から窺える人柄、遊女ガイドブック、吉原の粋、貸本屋のメリット、田沼バブルの時代、元吉原からの移転、遊女三千人高音頭を御免、ランク別で異なる妓楼の店構え、遊女を挿花に擬して紹介、お大尽の財布を開かせて、老舗本屋の失態、より安くより持ちやすく、有名人による推薦序文、刊行目録というアイディア、妓楼と大々的にタイアップ、江戸っ子を熱狂させた狂歌ブーム、耕書堂という屋号、コンスタントに捌ける浄瑠璃本、往来物の需要を支えた寺子屋、天明期の新たなる飛躍、穿ち・滑稽・パロディ・ナンセンス、文化の趨勢は上方から江戸へ、狂歌三大家、才人がバカに徹する、狂歌師が束ねて絵師を鍛える、南畝というキーパーソン、狂歌師サロンの黒幕、狂歌をほしがる本屋、乱痴気酒宴が企画会議に、憂き世の憂さ晴らし、エンタメ本黄表紙で大ヒット連発、読者層は同時代の青年、一作目は鱗形屋から、敵失に乗じた遊離パロディ本、喜三二と春町の名コンビ、キーパーソン北尾重政を抑える、いざ「黄表紙」開板大攻勢、販路と制作スタッフを固める、狂歌ブームを追い風に、日本橋通油町に進出、地本ムーブメントの到来、絶頂の田沼時代から受難の寛政の改革へ、遊び心と絶妙松平定信のコラボ、蔦重というブランド、元祖「出たがり」編集長、地方にも広がる名声、北斎が描いた店内、耕読堂で吸う江戸の空気、安永年間バブルを追い風に、綻びはじめる田沼政治、アホだが憎めない主人公、京伝に続く狂歌壇の開板、松平定信の登場、ご政道をカリカチュア、目をつけられた喜三二と蔦重、春町入魂の武芸奨励揶揄本、寛政の改革を褒め殺し、お咎めの連鎖、二大武家戯作者を失う、続けざまの出版統制令、頼れるのは山東京伝だけ、原稿料で作家を追い込む、京伝手鎖・蔦重「身上半減」、南畝のフェイドアウト、歌麿の美人画で怒涛の反転攻勢、手付かずだった一枚絵、アンチ本絵の系譜、次の錦絵で一世を風靡した春信、北斎を抜擢・歌麿・写楽を発掘、謎多き前半生、橋渡しは春町か・重政か、八頭身美人を描いた清長、気鋭の絵師を売り込む、蜜月関係、写真を極めた絵入狂歌本、摺師の技美人大首絵という「コロンブスの卵」、観想から江戸のアイドルへ表情から読める性格描写、距離を置き始める歌麿、ウタマロと春画、京伝と馬琴を橋渡し・北斎にも注目、化政文化への橋渡し、曲亭馬琴と山東京伝、ゴーストライター馬琴、北斎の挑戦、次の売れ筋はなにか、役者絵という鉱脈、人気絵師へのアプローチ合戦、最後の大勝負・写楽の「役者絵」プロジェクト、新人絵師の登用、あまりに真を描かんとて、写楽の第一期作品群、女形の真を衝く、実働期間十か月、役者絵ファンからの熱烈な支持、酷評される第三期、嫌われた蔦重―写楽プロジェクト、写楽の功罪と評価、蔦重の読み間違い、逆輸入された評価、写楽の正体、写楽研究の進捗百出する「写楽探し」、蔦重との接点、蔦重と写楽総括、戯家の時代を駆け抜けて、十返舎一九、書物問屋としての蔦重、本居宣長に会いに伊勢へ、「玉勝間」と「手まくら」、開板ではなく江戸売引、江戸患いで病臥、享年四十八、蔦重の業績について知りたい方におススメ、
感想
出版活動を通じ化政文化に寄与、プロジュースとパトロン能力に傑出、戯けと反骨をもって江戸の人々の信頼を勝ち得た、
まとめ
貸本屋から吉原細見の独占出版へ、江戸っ子を熱狂させた狂歌ブーム、エンタメ本「黄表紙」で大ヒット連発、絶頂の田沼時代から受難の寛政の改革へ、歌麿の美人画で怒涛の反転攻勢、京伝と馬琴を橋渡し・北斎にも注目、最後の大勝負・写楽の「役者絵」プロジェクト、戯家の時代を駆け抜けてを考察、蔦重の発想と手法・業績を解説、