愛国の起源

本書は「愛国」を常識的理解の束縛から解放し、新たな「愛国」を創造することにある、著者は将基面貴巳、慶応義塾大学卒業、シェ大学大学院博士課程修了、ニュージーランド・オタゴ大学教授、専門は政治思想史、

①愛国の歴史

1古代・中世初期のパトリオティズム、「愛国」の由来は「パトリオティズム」、キケロによる二つのパトリオティズム、アウグスティヌスによるキリスト教的パトリオティズム、2中世・近代初期のパトリオティズム、「祖国のために死ぬこと」、選ばれた民、共通善の敵とは誰か、外国人に開かれた共和主義的パトリオティズム、ミルトンと「どこであれ自分がよく生きられるところ」、共通善か国王か、王党派パトリオティズムの特徴、教皇と国王の二者択一、3一八世紀のパトリオティズ、伸縮自在な祖国愛、フランス革命と「国民」の誕生、ナショナリズム的パトリオティズの誕生、国民意識形成のプロジェクト、普遍と個別という矛盾する要素、反体制派的だったナショナリズム、

②愛国とは自国第一主義なのか

1「普遍的慈愛」とは何か、愛国はなぜ「保守」の思想になったのか、自国第一主義の萌芽、フランス革命をめぐる大論争、プライスバークの先駆者、ハチスンのコスモポリタンなパトリオティズ論、距離が近ければ共感しやすい、人類愛と祖国愛、2プライス・バーク論争、プライスの「祖国愛について」、ナショナリズムと外国人嫌いの台頭、「虚偽でいかがわしい」パトリオティズ、「保守主義の父」バークのフランス革命批判、パトリオティズ、を換骨奪胎したバーク、

③愛すべき祖国とは何か

1「パトリア」概念の変遷、ヴォルテールとルソーの「パトリ」、「パトリア」と英語版「カントリー」の違い、自国の風景を愛する祖国愛、ロマン主義と自然的祖国の肥大化、2保守的パトリオティズムの誕生、家族愛や近所付き合いの先にある「国」、「伝統」としての「国」、保守的パトリオティズムのの誕生、スミスの共感理論によるキケロ的パトリア概念の解体、理想の追求か現状肯定か
、家族愛を基本とする祖国愛、プライス・バーク論争に見る政治的な歴史解釈の対立、近代ナショナリズムと保守的パトリオティズムの接点、3保守的パトリオティズムの台頭と共和主義的パトリオティズムの退潮、バーク以後の論争、自国の伝統を愛する「真の愛国者」の登場、一九世紀イギリス知識人とパトリオティズム、

④愛国はなぜ好戦的なのか

1フランス革命と軍事的パトリオティズム、市民に広まる「愛国」「貴族」は本当に「高貴」なのか、「貴族」をめぐる論争、「貴族である」ことと「貴族らしくする」こと、愛国心とは無縁のフランス軍隊、フランス革命と軍隊の近代化、ナショナリズム的な軍事的パトリオティズム、2軍事的パトリオティズムの「熱狂」、フランス革命の「熱狂」、「熱狂」するパトリオティズムの正体とは、新しい軍事的パトリオティズムの衝撃、好戦と反戦の「空白」の

⑤近代日本の「愛国」受容

1「パトリオティズム」から「愛国」へ、見慣れない日本語だった「愛国」、国のために戦う「報国」、近代スポーツと軍事の結びつき、福沢諭吉が説いた「平時のパトリオティズム」、思慮か本能か、戦争と「報国心」、福沢諭吉にとってのパトルヤ、キリスト教と博愛主義、2明治日本の保守的パトリオティズム受容、尊王愛国、欧米保守思想の輸入、金子堅太郎によるバーク愛国論、明治日本の愛国思想、

⑥「愛国」とパトリオティズムの未来

1私たちにとってパトリアとは何か、現代社会とパトリオティズム、バークの呪縛、「バークを殺す」、私たちにとってパトリアとは何か、憲法パトリオティズム、環境パトリオティズム、国家を超えるパトリア、2現代日本の「愛国」とパトリオティズム、バーク路線の「愛国」的道徳教育、現代日本の「愛国」の問題点、「反日」という罵声にどう答えるべきか、私は「パトリオット」、それでもパトリオティズは必要なのか、「である」から「する」へ、

まとめ

愛国の源流パトリオティズムは長く複雑な歴史、「愛国」は保守や右派の政治的立場と結びつけられた、現代の「愛国」はそうした歴史的偶然の所産に過ぎない、根源的に考える必要がある

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