医療と介護の法律入門

医療や介護はすべての人の毎日の生活を支える基盤である、本書はその骨組みを作っている医療と介護の法制度全体のイメージわかりやすさを優先して伝えたものである、著者は児玉安司、東京大学法学部卒業、新潟大学医学部卒業、シカゴ大学で修士課程修了、新潟大学で医学博士、現在一橋大学法科大学院客員教授(医事法)

医療と介護の法律

1日本国憲法の中の医療・介護制度、自由の世界とその限界、公共の福祉の世界、社会保険の登場、2医療法改正の軌跡、戦前の国民医療法、憲法・そして・医療法と医師法、超高齢社会を視野に入れた医療法改正の歩み、医療法の改正と一条の軌跡、医療法一条が示す今後の方向、

医療安全と医療事故調査

1医療事故・そして医療不信、1999年から激増した医療事故報道、きっかけは三つの事故報道、医療の問題点、「異状」を届けるということ、医療不信から医療崩壊へ、2医療安全の始まり、増える医療過誤訴訟、医療の品質保証(QA)、品質改善(QI)へ、不注意やエラーを制御する方法、失敗から学ぶ組織文化・成功から学ぶ組織誤注射事故を考える、アメリカ学術会議報告「人は誰でも間違える」、「4万4000人から9万8000人」の根拠と批判、医療の不確実性、3医療法改正、森報告書「医療安全推進総合対策」、高久報告書「今後の医療安全対策について」、4医療事故調査制度、アメリカの医療事故調査の五つの側面、記録に対する姿勢の違い、内部討議の自由の保障、医師免許制度の違い、監察医などによる死因調査制度、日本のモデル事業の発足、医療の評価の方法、日本医療安全調査機構の発足、医療事故調査制度創設までの議論(1)検視との関係など、医療事故調査創設までの議論(2)無過失補償制度との関係など、第六次医療法改正と医療事故調査制度、

医療訴訟を考える

1損害賠償の原則、過失責任主義と金銭賠償の原則、金銭による填補についての疑問、過失責任主義の困難、過失責任主義の例外、2日本の民事医療訴訟、民事医療訴訟の件数の推移、最高裁の二一件連続破棄判決、司法制度改革と医療集中部の設置、医療訴訟の審理、専門知識の達人、鑑定という手続き、和解の増加、3医療ADR,裁判外紛争解決手続きの利用の促進に関する法律、医療ADRへの取り組み、4無過失補償制度、フランスの選択、日本の無過失補償制度、医療品副作用被害救済制度、

超高齢社会の介護と医療

1社会保障を支える社会的・経済的条件、ケインズ・べヴァリッジ型福祉国家の構想、第二次世界大戦後の高度経済成長、低成長経済への対応、2超高齢社会を前にした医療と介護の改革、医療の改革介護の改革、家族の介護力、3社会福祉基礎構造改革と介護保険、社会福祉基礎構造改革とは、社会保険としての介護保険、介護保険における「措置から契約へ」、成年後見制度の導入、「親亡き後」のサポート、「意思決定支援」という考え方、4医療の同意、虐待防止の制定、患者の「自己決定権」の二つの側面、「同意」をとること、

人生の最終段階の医療

1二つの裁判例、名古屋高等裁判所昭和37年12月22日判決、横浜地方裁判所平成7年3月28日判決、誰がキーパーソンか、現場の直面している問題、「治療中止の是非」の問題の多様性、「尊厳死」、DNR,2医療に関する司法判断と「ガイドライン」いくら頑張っても・それ以上のことはできない、最高裁の判断と厚生労働大臣の判断、検察官の起訴便宜主義、3ガイドラインの形成、終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン、ガイドラインの改訂、4アメリカにおける生命維持治療の中止や差し控え,カレン・クインラン事件、ナンシー・クルーザン事件、生命倫理と司法制度の日米比較5残された課題、ひとりひとりの問題として社会全体で考える

倫理委員会と医学研究

1人で試すということ、創薬や医療技術の開発と倫理委員会、安全性と有効性を確かめる手順ー「治験」「臨床試験」、ナチスの人体実験とニュルンベルク綱領、ニュルンベルク綱領の残した課題、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言、ヘルシンキ宣言における同意、2倫理委員会、タスキギー梅毒放置実験、そしてベルモント・レポート、レイマン・コントロール、ミレニアム・プロジェクト、研究倫理審査委員会の困難、レイマン・コントロールを超えて、3利益相反(COI)の管理、他人の利益を第一にする「フィデュシアリー」「情報」と「リスク」、「利益相反」、ムーア事件、経済的利益のバイアス、4臨床研究法の制定と課題、相次ぐ研究不足、医学分野の研究不正の刑事事件、臨床研究法、特定臨床研究審査委員会、そして臨床研究中核病院、EUの工夫、アメリカ・FDAの工夫、元気の出る研究倫理を求めて

医療情報の利活用

1医療情報の利活用は何をめざしているか、高度情報社会の医療、医療情報とプライバシー、アメリカでのAI開発の例、2海外の法制度の動向、OECDで最下位と言われた日本、患者自身への診療情報の提供、アメリカHIPAA,EUの一般データ保護規制、3個人情報保護法と次世代医療基盤法、日本の個人情報保護法、同意原則とその例外、次世代医療基盤法、今後への期待、

まとめ

医療と介護の法律、医療安全と医療不信、医療訴訟を考える、超高齢社会の介護と医療、人生の最終段階の医療、倫理委員会と医学研究、医療情報の利活用を解説、医療と介護の法制度と生命倫理は毎日の暮らしの中で変化を迫られている、本書が役立つことを願う、

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