文学は地球を想像する

想像力の危機は環境の危機、物語の力、本書は文学と環境の関係を研究するエコクリティシズムの実践の一端を示したものである、著者は結城正美、ブルブライト大学院留学プログラム奨学生としてネヴァダ大学リノ校大学院にて世界初の「文学と環境」を学ぶ、現在は青山学院大学文学部英文文学科教授、専門はエコクリティシズム・アメリカ文学、

エコクリエイティシズムの波動

環境危機と文学研究、エコクリエイティシズム宣言、環境批評や文学と環境という別称、実態と言説のあいだ、

近代化・わきたつ野性ー綴り直される感覚

1ネイチャーライティングと散歩道の夢想ーヘンリー・D・ソロー「森の生活」、自然を知るということ、私という社会、歩くという実践哲学、野性を映す過剰の文学、野性にこそ世界は保たれる、ネイチャーライティングとは、2山の身になって考えるーアルド・レオポルド「野生のうたが聞こえる」、科学と美の融合、美が心の目をひらく、自然保護から土地倫理へ、凶暴な緑色の炎、生存の文化と進歩の文化、

森を出て環境を知る―自然らしさという神話

1自然は逃避先なのかー生の網の目・搾取の綱、自然志向に関する誤謬、環境正義エコクリイティシズム、ポストコロニアル的展開、アフリカの国立公園が意味するもの・保護される唯一の場、アメリカの国立公園が意味するもの・大地の時間、2都市の中の自然ー「兎の目」と「オレンジ回帰線」・作られたもの、ハエと少年、きれいは汚い、汚いはきれい、空き地と基地、北回帰線が動くとき、境界をかき回す、ホームとしてのフリーウエイ、危惧される「経験の絶滅」、技術圏の自然、

危機が叫ばれる時代に―つくられた共生ー生きられた共生

1「自然との調和」を再考する、「自然との調和」はエコロジカルなのか、生物多様性国家戦略に見る「共生」のレトリック、プラスティック・ワードの滑らかさ、連なるいのち・あるいは・生き物を殺して食べる罪の自覚、2切れないいのちー石牟礼道子「苦界浄土」、「水俣病ワカメといえど春の味覚」の過剰さ、海とともにある人、ビオスに還元されないいのち、絡まり合い多声性、水俣という場所、マルチスピーシーズの里山・里海、3暮らしの中の脱成長ー梨木香歩「雪と珊瑚と」、真似したくなる節度ある豊かさ、経済成長社会に幻視される別の道、「チーム・自分」の共同体、手から生まれれる快楽と連帯、

人新世を考えるために

1核の時代の祈りースヴェトラーナ・アレㇰシェ―ヴィチと小林エリカ、メタ言語としての科学技術、放射能発見からたかだか120年廃棄と封じ込めの思考、誰にとっても未知の場所、見えない光への感応、官能の境界侵犯性、2人工親友・AFがいる日常ーカズオ・イシグロ「クララとお日さま」、画面の向こうには何があるのか、AIの記録にみる他=多のふるまい、機械から仲間へ、技術圏のトリックスター、ロボットに人間らしさが感じられるとき、3惑星規模の思考へー多和田葉子とリチャード・パワーズ、人間による・人知を超えた・ありふれた危機、地球に同調する子供たち、まるい地球の曲線に沿って考える、いつまでも地球のお客さん気分でいちゃいけない、活動的な静寂・あるいは人間の擬樹化、技術圏で森の身になって考える、

まとめ

エコクリティシズムの波動、近代化・わきたつ野生、森を出て環境を知る、危機が叫ばれる時代に、人新世を考えるためにで構成、想像力の再調整、危機と共に生きるために、よくできた物語、文学の役割がある

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