今日本型開発協力は岐路に立っている、開発目標の多様化、新興国の存在感、日本の安全保障が緊迫の度合いを増している、本書は「日本の途上国支援はどうあるべきか、日本は途上国からの期待に応えていけるか」を主題に論じたものである、著者は松本勝男、一橋大学卒業、コロンビア大学院修士・東京大学大学院博士、現在は国際協力機構インフラ技術業務部長、2012年から駐在を含めインド業務・本業の傍らタイ・ベトナム等6か国で障碍者就労支援活動、
権威主義の台頭とSDGSの危機
1権威主義と途上国、「体制間競争」、途上国と大国の関係、「グローバル・サウス」の意味、日本の民主化支援、途上国からの来たい、2国際開発指標の悪化、到来した複合危機、経済成長の鈍化と債務危機、国家破綻したスリランカ、赤信号のSDGS,3ミャンマーの現状と開発協力の行方、軍部の大義、孤立する国家、開発協力の経緯と現状、今後の行方、4開発独裁の功罪、シンガポール株式会社、権威主義国の開発状況、成長と民主化、アジア的人権論、西洋的価値と開発協力、
日本型開発協力の特徴
1昔と今の国造り、「まことに小さい国」の挑戦、学んで・選んで・実行、途上国出身の強み、2成功体験の共有、法治国家の骨格作り、命を守る母子手帳、企業価値を高める「カイゼン」、「カイゼン」の起源、災害大国の知見、3日本の開発協力モデル、貿易・投資・雇用の経済循環型、「経済協力」の歴史、建設・運営・人材育成の開発セット型、産官学による三位一体型、分業と連携、4日本型協力の源流、「お雇い外国人」の役割、活躍の秘訣、富国化の拠点作り、台湾の経済開発、「生物学の原理」に基づく施策、借入資金の有効利用、
インフラ協力の新たな価値づけ
1「インパクト・インフラ」という考え方、建設業者の海外受注、質の高いインフラ投資、平和に貢献するインフラ、2連結性強化と地域の安定、アフリカ北部回廊による共同体構築、日本が支援する「インパクト・インフラ」、地域融和を促したメコン開発、第二メコン国際橋、インドの北東部開発、インフラ協力と地政学、3総合安全保障とインフラ協力、命綱となるエネルギー確保、ビンツル港の役割、海上貿易の重要性、国際運河への協力、運営面の支援、気候安全保障、日本の協力事例、
「開発協力市場」での競争
1国際標準型に協力、先進国の共通規則、「タイド条件」と「チャレンジ制度」、主要国の特色、インドに嫌われた宗主国、日本の占める地位、債務問題を扱うパリクラブ、2台頭する新興国、「途上国による途上国支援」、中国の支援、「貸し込み」への批判、債務再編への動き、3インドの途上国支援、協力の実績、支援の特徴、日本と途上国の連携、4中国の協力手法、インフラ協力の事例、中国輸出入銀行の優遇借款、事業のインパクト、批判の内容、
実施体制の強みと課題
1総合力と「サイロ」化の罠、開発協力の主役、知見に秀でる地方自治体、現地での活躍、「サイロ」化の事例、2組織間連携の強み、機動力にすぐれる緊急援助隊、試行錯誤の現場、科学技術外交の実践、宇宙開発と森林保全3人と人・心と心、現地に根付く協力、長期にわたる人的交流、親日層の形成、血の通う協力、日本に対する厳しい視線、4体制構築の課題、協力手法の公式化、司令塔は誰か、インテリジェンス部門との関係構築、古くて新しい「失敗の本質」、「失敗」を避ける工夫、
戦略的考え方実践主義
1黄昏期からの覚醒、国力あってこその途上国支援、予算縮小と国益論、質重視の時代、「身の丈協力」の検討、等身大の貢献、2安全保障と開発協力、途上国支援の意味、「核心的利益」と戦略性、「システム思考」の活用、支援事業の色分け、3枠を超えた協力手法、新興国との連携、外国のNPOや財団との協働、「結合機能」の強化、受託国家としての矜持、4信頼構築と国造り、「合理的な利他主義」、共感の罠、武士道は有効か、信頼の力、
まとめ
権威主義の台頭とSDGSの危機、日本型開発協力の特徴、インフラ協力の新たな価値づけ、「開発協力市場」での競争、実施体制の強みと課題、戦略的実践主義について論じ、途上国支援の在り方を再検討する時期が到来している、