本書は人と馬やロバとの長い関係、野生種が衰退していく一方、家畜化された仲間が遙かに凌ぐようになった歴史を考察したものである、著者はJ・クラットン=ブロック、大英博物館上級科学者、哺乳動物・家畜哺乳動物の研究にたずさわり、動物が初めて飼われた発祥地イエリコ出土の動物の調査・研究は世界的に著名である、
序論、古代文明の発達に果たした動力としての役割
Ⅰ野生の馬とロバ
ウマ科動物
北アメリカ起源、生殖、歯と食物・草食、習性・二種類の社会行動、後氷河期の末期に狩人の餌食となったウマ科動物、
有史時代における野生の馬とロバ
野生のウマ・タルバン、モウコノウマ、野生ロバ、アジアの野生ロバ・アフリカ・アジア、野生に戻ったウマとラバ、
Ⅱ誇る祖先もなく・子孫をもつ望みもないウマ科動物
雑種およびラバの生産
雑種強勢、最初の「ラバ」、ラバと駃騠(ヒニ―)、先夫遺伝
感応遺伝)、シマウマの雑種、鈴をつけた雌馬(ベル・メア)、ポワトゥー・ラバ、役畜(駄載獣)
Ⅲ家畜化した馬・ロバ・ラバの歴史
馬とロバの最古の家畜化
馬・家畜化の起源は黒海のステップ地帯、ロバ・家畜化はウマ科動物のエクウス・アシヌス、
車輪による最初の輸送・乗馬・鐙および鼻孔おスリット
輸送と牽引の必要性・馬、最初の荷車と四輪大型荷車・馬車、車輪の制作、輓具、ウマ科動物のコントロール、蹄鉄、乗馬と鐙、ウマ科動物の鼻孔のスリット、
古代のエジプトや西アジアのウマ科動物とオナガ―の謎
オナガ―の謎・果たして家畜化されたことがあるのだろうか・古代メソポタミアのテル・アスマル遺跡、紀元前3000年期のメソポタミアにおけるウマ科動物の文字資料、アッシリア宮殿のレリーフ、旧約聖書のなかの馬とロバ・馬・ロバ・ラバ・オナガ―、
スキタイとオリエントの馬
紀元前1000年期のスキタイ遊牧民、遊牧民によるエリート社会、オリエントのウマ科動物、中国の竜山文化、秦の始皇帝陵、日本縄文時代後期、
古典世界におけるウマ科動物
古代ギリシャの騎兵隊、古代ギリシャの見世物とスポーツんにおける馬、古代ローマの騎兵隊、ローマの農業と輸送におけるウマ科動物、
中世におけるウマ科動物
封建時代におけるヨーロッパの馬、マジャール族の大侵略、狩猟の技術、ヘイスティングズの戦いとバイユーのタペストリー(壁掛)・イングランドがノルマンに敗北、十字軍、チンギス・ハンとモンゴル遊牧騎馬民族、マルコポーロの東方見聞録、中世における馬力の経済学、東洋、駅伝制度、西洋、農場の優先事項は繁殖、蹄鉄と鐙、鋤を忌避、
南北アメリカの征服
絶滅種、家畜馬の導入、アメリカ先住民が騎馬民になる、北アメリカの遊牧騎馬民族、南アメリカの騎馬民、カウボーイの気質と放牧場、対等感、南アメリカはガウチョ、
農業・輸送・探検と戦争におけるウマ科動物
1100年から1800年の鋤引きと牽引用の動物、雄牛から馬、重輓馬の出現、陸上の牽引と貴族の乗用、使役用ポニーと馬の売買、改良の時代、探検、1800年以後のイギリスの騎兵隊、馬からトラック、血統書
競馬の歴史
ホメロス時代の戦車競争、オリンピック競技、ローマの戦車競争、西暦1100年からエクリプスにいたるイギリスの競馬、アラブ馬の影響と初期のサラブレッド、血統書に引用される競走馬やサラブレッドは三頭のアラブ種雄馬、
まとめ
野生のウマとロバ、誇る祖先もなく子孫を持つ望みもないウマ科動物、家畜化した馬・ロバ・ラバの歴史で構成、二つのウマ科動物は家畜化によって生存地域を拡大、馬やロバは人間の伴侶であったが、自然破壊や野生動物の殺戮の共犯者となってきた、残虐行為禁止に向けて新たな戦略が必要である、