レビュー・フィリピンの民主主義

マルコス36年ぶりの凱旋、ピープルパワーの記憶を持つ人の目にはマルコス家の復権はいぶかしく映った、彼らの盛衰を追いながらフィリピンの政治社会の現状と課題を検証する、著者は柴田直治、朝日新聞記者を経てフリーに、著書「バンコク燃ゆータックシンとタイ式民主主義」

概要

フィリピンの発見から独立・独裁まで、マゼランの到着からスペイン・米国・日本の支配、独立後も続いた米国の関与、アジアのケネディの登場、マルコスだらけの町、殺人事件で無実を勝ち取ったシニア、北のマラカニアン、利益誘導で培った忠誠、イメルダとの出いー11日後の結婚、秘密兵器から鋼鉄の蝶へ、夫婦独裁、汚職のモニュメントバターン原発と孤島のサファリ、当意即妙・変幻自在の問答、エドサ政変から二つ目のアキノ政権まで、やらせ襲撃とクローニー・プレス、独裁体制の完成と人権弾圧、ニイノ・アキノ暗殺の衝撃、繰り上げ大統領選からマルコス家の追放へ、中間層・貧困層一体の幻想とその後の失望、マルコス家の帰国とラモスの当選、ピープルパワー2、よみがえるコーリーのノイノイの当選、ドゥテルテの登場と麻薬撲滅戦争、強面のスタンダップ芸人、乗車拒否をしないタクシー、治安回復で辣腕、自宅前の等身大パネル、欧米中心の麻薬撲滅戦争批判、ICCの捜査と脱退、少年の犠牲と反戦運動の一時の盛り上がり、治安の改善が支える戦争への支持、麻薬問題は解決にむかったのか、罪はあっても罰はなし、警察・税関・刑務所が麻薬汚染の震源地、無法がまかり通る収容施設、矯正局長がジャーナリスト殺害を指示、コインの表裏の美徳と悪徳、政敵排除と報道の抑圧、元大統領アロヨの無罪放免、前司法相の逮捕最高裁判官の解職、脆弱な司法の独立、人権委員会の予算を100ペソに、機能しない政党、軍と治安当局の掌握、ドゥテルテゆえのノーベル平和賞、歓迎ムードなき受賞、外国の代理人か、最大放送局の免許剥奪と免許の行き先、指名手配教祖の宗教団体に放送免許、ジャーナリズムの歴史と理解は地域随一だったが、伝統メディア攻撃に溜飲を下げる人々、史上最高のドゥテルテ人気とその秘密、中間選挙でドゥテルテ派が野党一掃、任期後半でも下がらぬ支持率、経済では成果上がらず、汚職追放にも疑問符、父娘そろって派手な政府予算の使いっぷり、対中政策の転換、人気の秘密はアンチ・ポリコレ、トランプ以上の暴言、連発するセクハラ発言、批判するて女性には厳しく、ボンボン政権の誕生とソーシャルメディア選挙、英雄墓地に埋葬されたシニアの遺体、サラとのタッグで全国ネットワークが完成、大統領一家のドタバタ劇、マルコス陣営を支えたデジタル・クローニー、黄金のシニア時代という言説、偽情報の四類型敗者ロブレド反省の弁、マラカニアン復帰へ向け周到だったデジタル戦略、ケンブリッジ・アナリチカとモルモット、ソーシャルメディア選挙元年、世界一のSNS利用国、ティックトックが主戦場、フェイクニュースへの警戒とフィルター・バブル、ピープルパワー神話の終焉と新たな物語の誕生、記事にしなかったボンボンのインタビュー、国外脱出時は28歳の知事、気ままで怠惰と父の不満、オイディプスのよう、弾けるスーパー姉・アイミー、落日のアイドル・クリス・アキノ、マルコス家とアキノ家の物語、変わらない貧困と格差、アジアの発展に取り残されるフィリピン、奇跡の革命物語の敗北、忌避される黄色、歴史修正と政権交代の意味、マルコス独裁を消す指導要領の変更、巨額相続税の滞納、消えた祝日・革命記念日、ニイノ・アキノ暗殺も書き換えの対象に、一家の名誉回復がミッション、親中路線から親米路線への転換、政権交代による変化、蜜月の終わり、ボンボンの変節に不満を募らすドゥテルテ陣営次の選挙へ向けての暗闘、東南アジアで広がる権威主義と民主主義の衰退、民主主義から権威主義までのグラデーション、後退するアジア太平洋地域の民主主義、時計の針を巻き戻したミャンマーのクーデター、タイの半分の民主主義再び、首相の座に38年・カンボジアのフン・セン、市民的自由の規制を続ける豊かなシンガポール、共産主義のドミノから権威主義のドミノへ、中国の勃興がささえる強権、米国の無関心と衰退・そしてご都合主義、現実化する1984年の世界、アジアの病・政治世襲、フィリピンに次ぐ世襲大国日本、アジアに民主主義は根付かなかったのか、ピープルパワー革命から40年のフィリピン民主主義について知りたい方におススメ、

感想

ピープルパワー革命が20世紀終盤の民主化の先駆けだとしたら、マルコス家の復権は現代史のなかでどう位置付けられるか、40年の報道にわたり、権威主義への回帰のなかでフィリピン民主の位置づけを探る、

まとめ

フィリピンの発見から独立・独裁まで、エドサ政変からふたつ目のアキノ政権まで、ドゥテルテの登場と麻薬撲滅戦争、政敵排除と報道の抑圧、史上最高のドゥテルテ人気とその秘密、ボンボン政権の誕生とソーシャルメディア選挙、ピープルパワー神話の終焉と新たな物語の誕生、歴史修正と政権交代の意味、東南アジアで広がる権威主義と民主主義の衰退を考察、アジアの民主主義は根付かなかったか?

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA