本書は会社法の全体像について、コンパクトに述べたものである、著者は神田秀樹、東京大学法学部卒業、東京大学名誉教授・学習院大学教授、
①「会社法」とは何か
1世界に広がる株式会社、株式会社形態の普及、株式会社形態の特質、会社法て何?株式会社の特質と会社法の役割、制度間競争の時代、日本の会社形態、22005年の「会社法」制定、二つの偶然、商法改正小史、2001年以降の改正、議員立法と経済産業省の特別法、法制化のタイミング、そして「会社法」制定へ
②会社法の考え方と会社法制定以降の改正
1会社法の考え、ファイナンス分野、ガバナンス分野、会社法制、ベンチャー企業育成など、会社法の条文配置、22014年の会社法改正、2014年会社法改正の経緯、改正の背景、国会での審議、2014年改正の特徴、32019年の会社法改正、
③株式会社の機関
1なぜ法は株式会社に機関を要求するのか、会社法のポイント、機関とは、会社法における機関設計、戦後の歴史、その他の改正、2株主総会とは何か、株主総会とは何か、株主総会の招集、株主総会資料の電子提供制度、株主提案権、株主総会での議決権、株主総会での議事と決議の方法、3取締役・取締役会とは何か、取締役・取締役会と役員、取締役とは、社外取締役とは、社外取締役設置の強制、社外取締役の役割は何か、取締役会とその権限、モニタリング・モデルは採用されるか、取締役会の決議、代表取締役とは、取締役の義務ー会社との関係で一般的な義務、取締役の善管注意義務監視義務とリスク管理体制の構築義務、
4監査とは、監査役とは、監査役の権限、監査報告と調査権、監査役の義務、監査役の差止請求および会社代表、監査役会、会計監査人とは、5監査等委員会設置会社、監査等委員会設置会社とは何か、6指名委員会等設置会社、指名委員会等設置会社とは何か、業務監査制度のゆくえ、7役員の責任と株主代表訴訟、役員等の会社に対する損害賠償責任、役員等の責任の免除と軽減、役員等の第三者に対する損害賠償責任、株主代表訴訟とは何か、多重代表訴訟とは何か、1990年代以降の株主代表訴訟、会社の法令違反行為と取締役の責任、子会社管理に関する親会社取締役の責任、重大事故と取締役の責任、代表訴訟に関するその他の論点、株主による違法行為の差止、8会社補償制度とD&O保険に関する規律、
④株式会社の資金調達
1利害調整法としての会社法、会社法による利害調整ルール、株主間の利害調整の必要性、会社債権者がある場合、株主の投下資本回収、株主と経営者の利害調整、2株式と資金調達、株式という不思議な仕組み、各種の資金調達手段、会社法のルールの必要性、授権株式制度、新株発行における既存株主と新たに株主となる者の利害焼成、考えられるルール、日本の会社法のルール、有利発行、第三者割当て、有利発行がされた場合の効果、違法な株式発行、主要目的ルール、上場会社のエクイティファイナンス、3配当と自己株式の取得、むずかしい会社債権者保護、会社債権者保護のためのルールの二つの柱、4「株式」という仕組み、株式とは何か、株主の義務、株主の権利、株式の内容、優先株式、種類株式の利用、株主の平等取扱(株主平等の原則)、株主の地位(株式)の譲渡ー株券という仕組み、株式の譲渡、株式譲渡の自由、株主の会社に対する権利行使、5社債とは何か、なぜ会社法は規定を置くのか、社債の発行、
⑤設立、組織再編などの企業買収、事業再生
1株式会社を設立するには、変幻自在な会社、設立とは、発起設立と募集設立、最低資本制度の廃止、定款の記載事項、株式発行事項の決定、設立発行株式の引受け、設立時取締役・設立時監査役等のの選任、全額出資ルール、失権ルール、2自由度を増した組織再編、組織再編とは何か、会社法における組織再編、対価の柔軟性、三角合併、買収との関係、株主総会決議、簡易組織再編。略式組織再編、株式買取請求権制度と2014年改正、効力発生、差止、無効の会社分割における人的分割概念の廃止、詐害的な会社分割、3組織再編以外の方法での友好的な企業買収、よく行われるようになったMBOや支配株主による完全子会社化、二段階買収の二段目と会社法、買う側の利害相反という問題とそれへの対応、判例法の形成、会社法の条文から見えないルール、経済産業省のM&A指針、
4敵対的な企業買収、2019年頃までの動向、2020年以降の動向、会社法上のルール、5企業グループ法制、重要性を増す企業グループの法制、上から下、下から上、6不良債権問題と事業再生、事業再生のポイント、全部取得条項付種類株式、デット・エクイティ・スワップ、産業競争力強化法、
⑥会社法のゆくえ
1コーポレートガバナンス・コードの衝撃、なぜ金融商品取引法は毎年のように改正されるのか、東京証券取引所によるルール形成、独立役員制度、コーポレートガバナンス・コードとは、コーポレートガバナンス・コードの2021年改訂、東証の市場区分の見直し、制度は重層的で複雑だが、2世界金融危機と金融商品取引法の頻繁改正、世界金融危機の発生とその背景、格差の拡大、金融危機のグローバルな議論、金融危機と会社法、3企業活動のグローバル化と会社法、グローバル化時代の会社法改正の原動力、会社法のパラダイム、4サステナビリティと会社法、サステナビリティと制度、情報開示の法制化、金融機関の役割(サステナブル・ファイナンスへの要請)5会社法はどこへ行くのか、中小会社と会社法、会社にとっての会社法、会社法の未来
まとめ
会社法の制定が2005年、2014年と2019年に改正が行われた、会社法は今後も進化し続けると予測される、