日本の建築

本書は複線的で偶像破壊的なナマモノの日本建築論である、著者は隅研吾、東京大学大学院建築学専攻修了、1990年隅研吾建築都市設計事務所設立、東京大学特別教授・名誉教授、

日本という矛盾ー構築性と環境性

はじまりの木箱、タウトVSフォルマリズム、桂離宮という奇跡、桂離宮・伊勢神宮VS日光東照宮、伊藤忠太の反逆、西欧の二項対立、日本と西欧の距離と反撃、日本のサヴォア邸、丹下健三「大東亜建設記念営造計画設計競技」一等案、丹下の矛盾と伊勢神宮の両義性、レヴィ=ストロースの着眼点、

革命と挫折ーライト・藤井厚二・堀口捨巳

ライトによる転倒、浮世絵と庇の遭遇、ヴァスム―ト・ポートフォリオと巨匠たちの遭遇、ベーレンスによる脱色、建築の20世紀―自由な建築、6人の折衷建築家、藤井厚二-曖昧さとエンジニアリング、聴竹居ーコルビュジエへの挑戦、小さなエンジニアリング、木という特別な物質、堀口捨巳ー早すぎた分離派建築会、オランダとの出会いと紫烟荘、物質としての建築論と茶室との遭遇、民藝と考現学によるモノの発見、大震災・疫病から弱い物質とモノへ、

数寄屋と民衆ー吉田五十吉・村野藤吾・レーモンド

吉田五十八・村野藤吾と戦後、西欧による挫折と数寄屋の近代化、吉田の焦りと矛盾、明るい数寄屋と引き込み建具、線の排除と大壁造、村野のヨーロッパ体験と反東京、革命への挫折・北欧建築の発見、西の数寄屋、関西の小ささ・関東の大きさ、大地の発見、弱さの発見と瓦礫の上に咲く花、二種類の数寄屋、木材不足と細い柱、歌舞伎座をめぐる闘い、新歌舞伎座における村野の挑戦、捻子連子による吉田の挑戦、面取りと表層主義、西と東の長い確執、西の大陸的合理性・東の武士的合理性、千利休における西と東、小さな江戸・大きな明治、小さな建築としてのモダニズム、垂直性への嫌悪、丹下の垂直性、老馬にまたがるドン・キホーテ、ラボとしての数寄屋、中間粒子とオマケの可能性、中間粒子による増改築、レーモンドと日本、レーモンドのバウハウス批判、製材の木造と丸太の木造、民藝運動とぺリアン、チェコの民家と足場の丸太、レーモンドの斜め、ピロティから孔へ、土間と孔、飼おう性念氏

冷戦と失われた10年・そして再生

日本の敗戦と日欧の均衡の崩壊、冷戦が要請した・建築を媒介とする日米和解、若いアメリカの象徴・松風荘、和解がもたらした日本の分断、丹下健三の怨念と伝統論争、土着の縄文VSアメリカの弥生、丹下自邸という究極の和洋折衷、自邸取り壊しと日本との決別、縄文からコンクリートへ、建築による戦後日本の分断、鈴木成文と内田祥哉、西山卯三と生活への回帰、51Cと東求堂、建築生産とプレハブ、日本の木造建築のフレキシビリティ、日本のモデュール、バブル崩壊と木造との出会い、頭からでなく・モノから考える方法、失われた10年と新しい日本、

まとめ

日本という矛盾、革命と折衷,数寄屋と民衆、冷戦と失われた10年で構成、本書は西欧の独善的で排他性とシングルラインの日本建築史観の不毛な対立に変わるパースペクティヴとして、複数の主体、地域、階級との闘争と対立とによって生成されたダイナミックな日本建築論である、

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