本書は紫式部が体験した王朝文化の世界を、特に異国の唐物を通じて紹介したものである、著者は河添房江、東京学芸大学名誉教授、東京大学大学院博士課程単位取得退学、専門は源氏物語をはじめ平安文学、
紫式部の人生と唐物
紫式部の家系と少女時代、父為時と夫宣孝、宮仕えの時代、
王朝のフレグランス
日本の香文化の源流、鑑真と香料、儀式に使われる薫物、ギフトとしての薫物、「うつほ物語」と「枕草紙」の不思議、「このついで」の美学、
源氏物語のフレグランス
梅枝巻の薫物合わせの世界、蛍宮の八方美人ぶり、薫物と四季の美意識、鈴虫巻の持仏開眼供養、香りが混じり合う効果、
王朝の交易ルート
国風文化の実像、唐物の品目について、大宰府交易とは、大宰府の高官たち、源氏物語の五節と末次花、玉鬘物語と大宰府、源氏物語の批判意識、
紫式部の情報源
紫式部と女友達、夫宣孝という情報源、宣孝の甥は悪名高い大弐、唐物狂いの実資、
道長の海外ネットワークと唐物
この世をば わが世ととぞ思う、「御堂関白記」と唐物、入宋僧との関わり、舶来の書簡のコレクター、紫式部と道長の関係は、
王朝のガラス
王朝ガラスを代表する瑠璃壺、仏具としての需要、「うつほ物語」の瑠璃の不思議、正倉院宝物のガラス、源氏物語のガラス器、藤原の瑠璃君、
王朝のブランド陶器
王朝のブランド陶器とは、鴻臚館跡展示館の青磁、「秘色」青磁の盛衰、末次花の「秘色」、
王朝の毛皮ブーム
末次花の「黒貂の皮衣」、渤海国交易について、「竹取物語」の「火鼠の皮衣」、「うつほ物語」と「多武峰少将物語」の皮衣、末次花のその後、
渤海国と桐壺巻の高麗人
高麗人の予言、謎の国渤海、漢詩による文化交流、「光る君」の名付け親、
紫式部の越前下向と対外意識
父為時と高麗人、宣孝との贈答、「散華」と「紫式部物語」、越前国と渤海国使、
舶来ブランドの男性コスチューム
光源氏が愛した唐の綺、綺についての謎、行幸巻の十八番、次世代に対抗できない主人公、
舶来ブランドの女性コスチューム
定子の唐物尽くしの衣装、唐綾とその模倣品、「うつほ物語」の唐綾の系譜、玉鬘巻の衣配りの意匠、
王朝のインテリア
明石の君の機転、東京錦の思い出、明石の姫君の難をおぎなう調度、女三宮虚飾の調度、宿木巻の婚礼調度、蜻蛉巻の調度の比喩「今昔物語」の分不相応な室礼、
王朝の紙の使い道
日本における紙の歴史、梅枝巻のちょうど手本、唐の紙の複雑さ、高麗の紙の謎、美しかった紙屋院の紙、評価が分かれる陸奥紙、
舶来ペットの功罪
「あさきゆめみし」の黒猫、「枕草紙」の「命婦のおとど」,昌子内親王と選ばれた唐猫、女三宮の身代わりとしての唐猫、「狭衣物語」と「更級日記」おロマネスク、「古今著聞集」の不気味な唐猫、孔雀と鸚鵡をめぐる極楽幻想、
まとめ
紫式部の人生と唐物、王朝のフレグランス、源氏物語のフレグランス、王朝の交易ルート、紫式部の情報源、道長の海外ネットワーク、王朝のガラス、王朝のブランド陶器、王朝の毛皮ブーム、渤海国と桐壺巻の高麗人、紫式部の越前下向と対外意識、舶来ブランドの男性コスチューム、舶来ブランドの女性コスチューム、王朝のインテリア、王朝の紙の使いみち、舶来ペットの功罪で構成、本書の元となったのは「光源氏が愛した王朝ブランド品」、で紫式部や藤原道長がどのような時代に生きたのか、その実像を考察したものである、