本書は江南中国の物語である、著者は岡本隆司、京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学、現在は京都府立大学教授、専攻は東洋史、近代アジア史、
天府ー巴蜀から四川
1風土と開発、長江のスケッチ、みえない上流地域、秦の勃興と併合、都江堰、2彩る史実、「天府」、奥座敷、経済的・文化的なプレゼンス、紙幣のふるさと、3辺境としての近代、「四川」、張献忠という断絶、移民の再開発、チベットへの道、
島夷ー呉越同舟から東南半壁へ
1呉越、地理、勃興、「臥薪嘗胆」、秦の併合、2呉楚、陳勝から項羽へ、構図の復活、呉楚七国の乱、3三国、分岐と分裂、孫呉政権の成立、南京政権の原型として、4六朝、流亡の東晋、南朝へ、開発の進展、六朝文化、国際情勢、中華の正統、南朝を継いだ煬帝、
唐宋―新たな段階
1南北分業、転換、初唐の情勢、八世紀の明暗、唐の変貌、「江淮」の繁栄、新しい開発、2変革、唐の解体、「五代十国」、南唐の盛衰、呉越という新局面、宋の統一、南北分業のシステム化、3飛躍、開発の進展、流通経済の発展、都市化、海洋とのつながり、
枢軸ー新しい関係
1中原「カタイ」と江南「マンジ」、「澶淵体制」、クビライの統合、明朝の成立と南北の帰趨、2「マンジ」の発展、臨安・キンザイ、沿海世界、海洋立国、日本と寧波、3「マンジ」の変貌、穀倉、工業化、「湖広熟すれば天下足る」、分業と東西、フロンティアとしての江南、厳しい生存、権力・北方との関係、生存戦略、民間社会、4社会と思想、都市化の進展と特徴、弱肉強食、人々の結集、郷紳の登場、レジスタンス、行動様式、陽明学の普及、近代への可能性、李卓吾から顧炎武へ、南北から東西・海陸へ、
瘴癘ー海賊の展開
1南蛮、異界、起源、割拠の時代に、「神州」化とその實相、2変革、「十国」という発展、宦官王国、閩の興亡、通貨戦争、3発展・宋の統一と多元性、貿易の繁栄と市舶司、モンゴル時代、4転換、朝貢一元体制、鄭和の遠征とは、交替、華僑華人の故郷、5革命へ、福建と学術、広東の動向、西洋と変法、革命の発祥と現在、
垪命ー歴史を動かした内陸
1荊州、「楚」の興亡、秦漢、「三国志」の舞台として、六朝から唐へ、2湖広、谷間の存在、南平、楚の興亡、荊湖から湖広へ、3縮図、明清交代から「康熙乾隆」へ、内憂外患、曽国藩という転機、王夫之から毛沢東まで、
むすびー今見直すべきは、北と南、履歴と現代、日本人の中国観
まとめ
天府、島夷、唐宋、枢軸、瘴癘、拼命で構成、執筆企画は中央公論新社の小野一雄との出会いで江南の話からである、