本書はフランク・ロイド・ライトによる二代目本館「ライト館」を追求し近代日本の世相も浮かび上がらせるものである、著者は永宮和、ノンフィクションライター・ホテル産業ジャーナリスト、海外旅行専門誌編集を経て独立、フリ-ランスとして活躍、著書は「築地ホテル館物語」他多数、
頓挫した官庁集中計画・生き残ったホテル
井上薫と渋沢栄一、外務省と内務省の相克、ホテル計画のやりなおし、ついに完成した初代本館、ふんだりけったりの船出、鉄道整備と外国人旅行の拡大、明らかになった初代料理長の素性、
拡大戦略の失敗と会長交代
メトロポール・ホテルの合併吸収、渋沢から大倉へのバトンタッチ,財界重鎮による林愛作の説得、林愛作という異能、
ライトの波瀾の人生・そして来日
フランク・ロイド・ライトと林愛作、ライト・波瀾の人生、ライト館が存在しなかった可能性も、建築メンバーの顔ぶれと地盤対策、大谷石は代替品だった、直営工場で焼かれた装飾タイル、
苦難の末のライト館開業
初代本館の全焼がもたらしたもの、ライトの突然の帰国、落成披露当日に襲った関東大震災、唯一無二の空間、その使い勝手、ホテル営業の新時代、ライト館時代の料理人列伝
大戦の時代へ
二つの決起事件とホテル、戦時下・南方での経営受託、村上信夫の出兵、接収で支配人が米軍人に、ズタズタにされたライトの意匠、
近代の終焉・ライト館の解体
接収解除そして戦後復興、第一・第二新館の建設で巨大ホテルに、ついにライト館の解体決定、博物館明治村への移築、幻の姉妹ホテル「小田原ホテル」、林愛作の「その後」、四つのIF、
まとめ
頓挫した官庁集中計画、拡大戦略の失敗と会長交代、ライトの波瀾の人生、苦難の末のライト館開業、大戦の時代へ、近代の終焉・ライト館解体で構成、振り返れば井上薫の意思疎通ないままの撤回、生き残った帝国ホテルで林が根回しを欠いた新本館建設を進めた、設計はライト、ライトのこだわりから工期延長と予算膨張、結果は林の辞任とライトの帰国、現代の東京本館は三代目、竣工から50年経過、老朽化が目立つようになった、建て替え計画発表、令和18年に開業予定である、