罪と罰ノート

本書は「罪と罰」誕生の背景と小説読解のノートである、著者は亀山郁夫、ロシア文学者、東京大学大学院博士課程単位取得退学、名古屋外国語大学学長、著書多数、

序論

①1865~66年「罪と罰」の時代

観念と狂気の都市・ペテルブルグ、黙示録の都市・ペテルブルグ、シベリアから帰還、犯罪者のまなざし、「理想」の終わり・妻マリアとの関係、屈折の愛・スースロワ、厄年は続く・ルーレットへの情熱、「罪と罰」の誕生、作品名の起源/ベッカリア「犯罪と刑罰」、酷暑の7月・4月の暗殺事件、

②小説の誕生

小説のモデル・連続老女殺人事件、第一の構想・ぼく、第二の構想・裁きのもとに、第三の構想、ラスコーリニコフは、

③「罪と罰」の起源

ラスコーリニコフは死者としてふるまう、ペトラシェフスキー事件で逮捕、死刑判決の茶番・黙過の起源、

本論

①屋根裏部屋の「神」

場所と時間、物語ははじまるー7月7日、数秘術的関心、悲惨な頂点・屋根裏部屋、黄または黙示録的気分、試練と誘惑1・母からの手紙、試練と誘惑2・馬殺しの夢、殺害の現場、復讐、第三の犠牲者・巻き添えのリザヴェ―タ、反転する生命力・世界との闘争心

②引き裂かれたもの

理性と光・意志と力、譫妄状態、ラスコーリニコフ/名前の起源1・革命家たち、名前の起源2・分離派教徒との関わり、名前の起源3・ナポレオン主義者、分身関係またはザライスク(自由思想に伝染した地域)、ラズミーヒン―引き裂かれざる者、本性の動かしがたい価値、殺された母の側、

③ナポレオン主義または母殺し

隠蔽された何か,ナポレオン主義、「二つの階層」、思想の起源、欺瞞の哲学ー強者と弱者の区分、「非凡人」の刻印、解釈の余白に、ソーニアの大地、運命の意志、母殺し=リザヴェ―タ殺害行為、「イワ―ノヴナ」の輪・または無意識のレベルへ、

④棺から蘇る

信仰者の読み、黄の鑑札・カペルナウム(医学証明書)、聖書の引用、棺としての部屋・屋根裏部屋、「ラザロ」の復活ー「黙過」のリアリティ、四の意味・ラザロの意味/殺害から四日目、神を見るお方、「死せるキリスト」ー仮設、

⑤バッカナリアと対話

バッカナリアと対話、ラスコーリニコフはソーニアにリザベータ殺害を告白、革命思想・フーリエ主義の再現、隠された「二枚舌」、カテリーナの謎の行動、夫マルメラードフの「もてなし」・娘ソーニアの売春、ユダは誰か?究極の動機、

⑥運命の岐路

「踏み越え」たのは誰か・影の主人公アルカージー・スヴィドリガイロフ、「好色」な神、不思議な一致、ラスコーリニコフによる二人の女性殺害とアルファの葬儀の日付一致、妻マルファの死とその深層、最後の情熱、デカダンスと腐臭のスヴァイドリガイロフ、最後の遍歴、ドゥーニャ、永遠の否定、淫蕩、父と子・または自伝層の深みへ、父親・スヴィドリガイロフ、自伝のなかに、「罪と罰」は父と子が同一性の感覚のなかで描き留められた最初の確認書、第一の浄化、自首、ソーニアの力、センナヤ入場、警察で待ち受けていた火薬中尉・イリヤ・ペトロ―ヴィチ、

まとめ

死者の物語、罰の軽さ、「罪と罰」の原点は流刑地シベリア、第二の恩寵は無意識の世界、試される信念は神の力を信じること、開かれた「未来」、シベリアの地にふれあいと助け合いの共同体が生まれる、

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