病が分断するアメリカ

本書は公衆衛生の観点から、病と健康に影響を及ぼす社会の状況を、歴史をひもときながら検討したものである、著者は平体由美、国際基督教大学大学院行政学研究科博士課程修了、東洋英和女学院大学国際社会学部教授、専門はアメリカ史・公衆衛生史、

そもそも公衆衛生とは何か

公衆衛生の三要素、数を数えることの諸問題、健康教育の光と影、行動制限の影響、機構の整備と運用、

自由の国アメリカー個人の選択と公衆衛生管理の相克

1アメリカの自由のイデオロギー、「抑圧」が可能にした自由、自治・権力肥大化の回避・選択肢の存在、2公衆衛生政策に対抗する自由の論理、慣れと読み替えの繰り返し、新しい病気の出現と繰り返される抵抗、3自由のイデオロギーと政治制度、奴隷解放のロジック、通商権限と食肉検査法、4連邦と州の役割の相克ー州際通商を規制する連邦・住民の健康管理を統括する州、十九世紀末の検疫と隔離、COVID-19と連邦政府、ニューヨーク州の対策、

ワクチンと治療薬ー科学と自然と選択肢

1疫学転換とワクチン、2天然痘ワクチンと十九世紀アメリカ社会、アメリカにおける種痘の広がり、天然痘ワクチンとはどのようなものだったのか、3反ワクチンの戦い、ワクチン拒否・ジェイコブソン対マサチューセッツ判決(1905)、二〇世紀の反ワクチン運動、4COVIDー19下のワクチン開発と接種、飛行機の時代の感染症、前例のない速さで開発されたCOVIDー19ワクチン、COVID-19ワクチン義務化をめぐる議論、黒人はなぜワクチン接種に消極的だったか、

病の社会格差ー貧困層を直撃する社会制度

1国の豊かさと健康、2社会経済的地位と健康、貧困と病、社会経済的地位(SES)への注目、3顧みられないフロンティア、見過ごされる非都市部の貧困、非都市部の健康リスク、4COVID-19と社会経済的地位、都市エッセンシャルワーカーの苦闘、非都市部の医療崩壊、公衆衛生に不都合な「自由」

社会の分断ーマスク着用が象徴するもの

1スペイン風邪とマスク、スペイン風邪、他者への配慮・自己防衛、反マスク連盟ーマスクは効果なし・かえって不潔、2COVID-19下のマスク要請、CDCの勧告、州政府の動向、反マスク法とレイシャル・プロファイリング(法の執行者が特定の人種といった属性にもとずいて個人を捜査の対象とすること)、3政治化するマスク着用、政治の分極化とマスク、マスクは緋文字(不名誉な事態に施される目に見える罰)、

まとめ

そもそも公衆衛生とは何か、自由の国アメリカ、ワクチンと治療薬、病の社会格差、社会の分断で構成、公衆衛生は何を政策として選択しどこを諦め、自由と選択を保障するかを集団として選び取っていかざるを得ない政策分野である、

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