本書はドイツの哲学者・カントの「純粋理性批判」を読み解いたものである、著者は西研、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了、京都精華大学助教授・東京医科大学教授など歴任、
近代哲学の二大難問
十年の沈黙を破って出版された大著、カントが生きた近代ヨーロッパ、近代哲学が直面した二大難問、主観と客観は一致できるか、カントを震撼させたヒュームの警告・習慣的信念、カントは何を批判したのか、主観の共通規格は存在する、感性と悟性の働き、コペルニクス的転回・対象が認識に従う、
科学の知はなぜ共有できるのか
悟性がもつ働き、経験概念と純粋概念、悟性がアプリオリに備えるる「カテゴリー」、無意識に行っている判断の原則、アプリオリな総合判断とは何か、純粋な悟性の原則、数の概念はどうやって生まれるか、すべての直観は外延量である、自然科学を基礎づける原則、すべては私の体験として、超越論的哲学の最終目的、
宇宙は無限か有限か
究極真理の探究に終止符を打つ、理性はときに暴走する、私たちの魂は死後も生き続けるか、宇宙に始まりはあるのか、答えの出ないアンチノミー、なぜアンチノミーが生まれるのか、理性がもつ二つの関心、人間に自由はあるのか、神は存在するのか、理性は理念を思い描く、カントが考えた哲学再生の秘策、
自由と道徳を基礎づける
それでも人間に自由はある、道徳が自由をつくる、人間が立脚する二つの世界・現象界と叡智界、道徳的世界の根本ルール、ルールを普遍的なものにする、理性の究極の関心、神の存在は要請される、カントが思い描いた理想郷、カント最大の功績・自然科学と生きる上での価値を見渡す哲学構築、道徳の理論的考察は可能か、共有知として哲学を蘇らせる、
なぜ認識論は必要なのか
自分にフィットする哲学・思想を人は選ぶ、知識の共有はいかに可能か、世界全体と生の意義について語る言葉、自由な社会の市民として、認識を社会からみる 歴史的・発生的にみる、認識の正しさを判断する現場は主観である、「ともに生きている」と信じているからこそ・社会を考える、「共存の作法」としての認識批判、主観の哲学を発展させるために、多様性の時代と哲学、
まとめ
近代哲学の二大難問、科学の知はなぜ共有できるか、宇宙は無限か有限か、自由と道徳を基礎づける、なぜ認識論は必要なのかで構成、本書はカントの「純粋理性批判」をEテレ「100分DE名著」で放送されたのを書籍化したものである、