太宰治の愛と文学を訪ねて

本書は太宰治の自伝的小説を幼い頃から読んで人生の軌跡、心の軌跡をたどったものである、著者は松本侑子、筑波大学社会学類卒業、テレビ局勤務を経て「巨食症の明けない夜明け」で第11回スバル文学賞受賞、小説家・翻訳家、

思い出ー幼少期から葡萄狩りの初恋まで

津島修治の生誕地へ、最初の記憶、十三歳の子守たけの愛、早熟な男の子、異性への関心、父の亡骸を運ぶ橇、港町青森の中学校へ、おしゃれと肉体改造、作家になろう・作家になろう、赤い糸で結ばれた運命の少女、心中未遂に書いた小説、

津軽ー花柳界と左翼活動の高校生

古雅な城下町・弘前へ、芥川龍之介の自殺、義太夫と心中物の美学、週末は着流しで花柳界へ、同人誌発行と新聞雑誌部の活動、左翼活動から地主階級の自分を疑う、

東京八景・姥捨て-上京・天国と地獄の二十代

上京後の十年間をつづる小説、東京の地図を買う恥ずかしさ、「山椒魚」の井伏鱒二に弟子入り、共産主義活動にカンパ、芸者初代との同棲、実家からの勘当除籍、カフェの女給との心中未遂、入水という嘘・入水して死ぬ憧れ、警察から逃げ回る日々、「思い出」の執筆、学業を放棄し・初めての本「晩年」の小説を書く、鎌倉での縊死未遂、芥川賞候補と麻薬中毒、初代の不貞・谷川温泉での心中未遂、退廃のどん底から立ち直りを求めて、湯ケ野温泉・福田屋、

富嶽百景ー富士には月見草・再起をかけた結婚

怠惰からの再生、女教師・石原美知子とお見合い、過去の苦悩を力に変えて、偉大なる富士・凛と立つ月見草、美知子・北海道を旅して太宰の小説を読む、津島家は太宰に結婚資金を送らず、甲府にて新婚生活はじまる、

故郷・津軽ー故郷汝を愛し汝を憎む、

十年ぶりに故郷へ、津軽半島を一周する、蟹田で旧友とトゲクリガニを食す、津軽人疾風怒濤のごとき接待、運動会・子守のたけと再会する、

十五年間・惜別・薄命ー戦時下の良心ある作家として父として

結核で文士徴用を免除される、作家への言論弾圧、大東亜共同宣言のもとづいた小説、真実の日中平和友好を意図して、太宰の「惜別」と魯迅の「藤野先生」を比較する、三鷹空襲・甲府へ疎開、小山初代・中国に死す、甲府の七夕空襲・津軽へ再疎開、

十五年間・冬の花火・メリイクリスマスー敗戦・戦後日本への疑問 

金木へ疎開、一年四カ月を津軽で過ごす、戦後日本への疑問と絶望ー十五年間、GHQの検閲で不許可になった戯曲「冬の花火」、アメリカ兵が闊歩する三鷹の「メリイクリスマス」、

斜陽ー滅びゆく貴族から無頼派作家へ

戦後初のベストセラー、大地主・津島家の没落、皇族の縮小・華族の廃止、チェーホフ「桜の園」、読者の日記を使って小説を書く、作家志望の愛読者・太田静子、日記を借りに下曽我「大雄山荘」へ、「日本で最後の貴婦人」、思いがけない妊娠、静子・三鷹へ上京、太陽のように生きる、戦災で多くを失った日本人のために、

omoide人間失格ー肉体は滅び・文学は永遠の命を得る

都会で転落してゆく純粋すぎる若者よ、悩める人の救いの書、最後の恋人・山崎富江との出会い、死ぬ一年前に心中を決意する、「恋と革命」のキャッチフレーズを背負った流行作家、太田静子の出産、家庭の不和・文壇での孤立、筑摩書房創業者・古田晁の友情
、文壇での四面楚歌、情死・遺体の検視・葬儀、肉体は滅び・文学は永遠の命を得る、

まとめ

思い出、津軽、東京八景・姥捨、富嶽百景、故郷・津軽、十五年間・惜別・薄明、十五年間、冬の花火、メリイクリスマス、斜陽、人間失格で構成、道行の追体験は胸がときめくものであった、

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