絶滅する墓

本書は滅びゆく墓制から、地域や日本人の弔いの歴史・習俗を記録したものである、著者は鵜飼秀則、成城大学文芸学部卒業、新聞記者、雑誌編集者を経て現在は正覚寺住職、

私たちにとって「墓」とは何かー墓制史が教える日本人の死生観

旧石器時代に遡る墓の起源、縄文時代の貝塚とストーンサークル、弥生時代につくられた古墳の原型、「殯」の誕生、巨大古墳の時代へ、巨大古墳から「薄葬」の時代へ、石仏に見る中世の葬送の風景、高野山に30万基もの供養塔が出現、バラエティー豊かな墓の登場、檀家制度とイエの墓、江戸時代に確立した「庶民の墓」、神仏分離によって生まれた近代の土葬墓、オベリスクのような戦死者の墓「奥津城」

滅びる土葬・増える土葬ー土葬の現在

土葬は禁止されていない、伊賀に見つけた土葬墓、南山城村の土葬と呪術、ムスリムの土葬墓地をめぐる紛争、国内最大の土葬墓地、ミイラになって現れた福沢諭吉、

捨てる墓・詣る墓ー消えゆく「両墓制」

両墓制の今、今も残る両墓制、両墓制における葬送の方法、野辺送りの葬列、「賽の河原」のような埋め墓、先に詣り墓に手を合わせ・埋め墓に参る、「霊屋」という死者の家、ぎっしりと建てられた石塔、消えゆく埋墓

権力と墓ー生き様を映し出す鏡として

武将の墓は意外と質素、日光東照宮の最奥に佇む家康の墓、全国に15カ所以上ある信長の墓、知られざる秀吉の巨大墓、増上寺の徳川墓所は日光東照宮並みだった、大空襲で焼け落ちた徳川家霊廟、東京新島にある流人墓、「鏡」としての墓ー天皇陵、個性的な天皇陵、薄葬文化の見られる京都の天皇陵、転換期の天皇陵、

独自の意匠をもつ北と南の墓ー奄美・沖縄・アイヌの弔い

奄美大島と沖縄の土着的宗教習俗、奄美の肖像墓と洗骨
、なぜ先骨は続いてきたのか、沖縄の王制と墓制、破風墓と亀甲墓の源流、400年の歴史をもつ亀甲墓、米軍基地に飲み込まれた墓、男女で分けられたアイヌの「クワ」、

生きた証としての墓・証を残さない墓ー骨仏からコンポスト葬まで

遺骨で仏像をつくる、なぜ骨仏は人気なのか、企業墓という文化、企業墓のデザインは様々、製品のシンボルをモティーフに、従業員本位の企業墓、害虫や微生物を企業が弔う、比叡山の企業墓、篤志家を合祀するー検体墓、増える献体と知られざる課題、戦後の供養の形「納骨堂」、樹木葬・海洋散骨・手元供養、需要を伸ばす海洋散骨、墓じまいの時代、遺体を堆肥にするコンポスト葬、

まとめ

私たちにとって墓とは何か、滅びる土葬・増える土葬、捨てる墓・増える土葬、権力と墓、独自の意匠をもつ北と南の墓、生きた証としての墓、証を残さない墓、で構成、絶滅危惧の墓から知られざる日本の弔いを描いた、

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