昭和ブギブギ

本書は日常の遊びとしての「音曲」の連続性の中に欧米由来の諸芸の要素を取り入れてゆく過程として近代日本の大衆音楽史を捉え、そこに笠置と服部を位置づけたもの、著者は輪島裕介、東京大学大学院博士課程修了、現在は大阪大学大学院教授、専門はポピュラー音楽、近現代音楽史、アフロ・ブラジル音楽、非西洋地域の西洋化に関する批判的研究、

「歌う女優」誕生~大阪時代の笠置シヅ子

「流行歌」と「少女歌劇」、松竹楽劇部に入団、松竹団員の「プロ意識」、見世物との連続性、日舞からのスタート、「桃色争議」、「恋のステップ」で歌手デビュー、「服部ヘンリー」の正体、上京・松竹楽劇団へ

服部良一と「道頓堀ジャズ」

融通無垢な服部音楽の素地、芸事好きの一家、働きながら作曲を、うなぎ屋の楽団に入隊、サクソフォンで聞かせるショー、BKのオーケストラへ、運命の師と出会う、華やかなりし「道頓堀ジャズ」、ダンスホールの受難、フィリピン人プレイヤーと磨いたアドリブ演奏、

レコード・ラジオと「国民歌謡」

「実演」から「複製」へ、専属制度に「輸入」、タイヘイレコードでの雌伏、「大大阪時代」の終焉、「新民謡」でスタートした東京でのキャリア、コロンビア入社・そして結婚、淡谷のり子の「ブルース」、ラジオが主導した「国民歌謡」、「酒場の歌謡曲」を「国民の歌謡曲」に、民謡のジャズ化、民謡のジャズ化、民謡とジャズの奇跡的融合、「日本のブルース」、満州からのヒット、

スイングのクイーン&キング~松竹楽劇時代

「日本のジャズ」としての「スウィング」、「付けまつ毛」の女の子、男女混成の大規模レヴュー「松竹楽劇団」、歌と踊りとお笑いとーSGD設立宣言、初回公演の評判はーコンビ本格稼働、笠置のご贔屓・東西番付、地声でなければスウィングしない、「ホット」なジャズ歌手・笠置シヅ子、絶望を希望に変えた「スウィングの女王」飄逸さタフネスと、服部の「スウィングン丸」出航、「ラッパと娘」の衝撃、「本当に自分の曲を理解して唄ってくれる人」、実演重視の服部音楽、「ラッパと娘」を分析すればースキャットとコール・アンド・レスポンス、ブルーノート西洋近代和声の巧みな融合、「耳の音楽家」と「読み書きできる音楽家」、コンビのレコード進出とレビュー文化の終焉、「敵性音楽」への弾圧、戦時下の芸能シャッフル、

関西興行資本の東京進出~松竹・東宝・吉本

吉本の「ぼん」は笠置ファン、東京で勢力を広げる松竹、東宝の猛追、「色物」レコードと吉本興業、レビューに目をつけた東京吉本、漫才の誕生、引き抜き合戦勃興、音曲繚乱のラジオ、イデオロギーと軽口と、

時代のアイコン「ブギの女王」

「貫戦期」視点でブギウギを捉える、東宝系劇場へ進出、服部の復員、「新道頓堀行進曲」、スウィング・オペラ「ジャズ・カルメン」、「センセ・たのんまっせ」、電車の振動音が生んだ「東京ブギウギ」GI熱狂のレコーディング、漫画家たちも応援隊に、映画「春の饗宴」、ブギウギ大ブレイクー「ジャングル・ブギ―」「さくらブギウギ」「ヘイヘイブギ―」、文化人たちの反応、「姐さん方」のアイドルに、「流行歌」批判者の評価、もう一つの「ブギウギコンビ」ーエノケン劇団、拡張する「ブギウギ」、「神戸ブギ」についての追記、

服部は「ブギウギ」をどう捉えていたか

「ブギウギ」の音楽的特徴、コンサートがきっかけでブームに、気の晴れるリズムを欲していた、和製英語「エイト・ビート」の由来、ブギウギは「踊らせる」音楽、「ほんとうの」ブギウギ、ビート進化史観の誤謬、ビ・パップは破壊主義的、

リズム音曲の画期としの「買い物ブギ」

コンビの最高傑作「買い物ブギ」、買い物BOP,譜面草稿からたどるリズムの変遷、ブギウギ」シリーズのラストヒット、「わて・ホンマによう言わんわ」、ハワイでの人気、本命はヨーロッパだった、「リズム音曲」路線の確立、大衆音楽を取り巻く環境の変化、歌手「引退」へ、いまも息づくリズム音曲、笠置・服部の「自画像」
、大坂から見直す」「近代音曲史」

まとめ

笠置と服部コンビによる昭和ブギを近代音曲史の視点から捉えたものである、歌う女優誕生、服部良一と道頓堀ジャズ、レコード・ラジオと国民歌謡、スウイングのクイーン&キング、関西興業行資本の東京進出、時代のアイコン「ブギの女王」、服部はブギをどう捉えたか、リズム音曲の画期として「買い物ブギ」で構成、

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