日本は明治から戦後のある時代まで移民送り出し国であった、本書は元引揚者の声を伝えたものである、著者は寺尾沙穂、東京大学大学院修士課程修了、2006年シンガーソングライターとしてミニアルバム「愛し日々」リリース、音楽活動の傍ら文筆家としても活躍中、2021年「こほろぎ舎」設立、
父のいない戦後ー札幌・平尾富士子
引揚者の一部を収容した幕張の「千葉県厚生療」、父親の「戦死」と遺族年金、パラオに眠る⁻亡父よ恋しく、
台風と格闘した開拓ー種子島・中川博司
「到底人の住める所ではない」、日本の版図の果てから果てまで、あったかい所に行って農業しよう、空襲の跡は遺体を箸で集めて、洗面器は宝物、パラオから種子島へ・ゼロからの開拓、入植して16年目・ようやく電気が通る、
遊水地に拓いた未来ー我孫子・玉根康徳
「あったかい所ってこんなにいい所なんだ」、あらかじめ水害が見込まれた土地を開拓する、「夜な夜な泳いで行って穴をあける」、2019年10月・台風19号が遊水地を襲う、
PTSDを呼び起こされる戦後那覇・上原良二
渡名喜島からパラオへ、南洋へ活路を見出す漁師たち、少年を狙うグラマン・台湾での収容所生活、教師を目指した戦後・ハンデの大きい離島からの進学、
死亡も補償も認められない―那覇・阿良光雄
美山丸と共に沈んだ・赤ちゃんも吹っ飛んだ、銀行マンとしての戦後・16歳で戦死した兄、
靖国に祀られた母ー札幌・野村武
開拓から炭鉱・再び開拓へ、遺族の思いを無視した合祀、
パラグアイからアルゼンチンへー埼玉・鈴木光
パラグアイ取材が一気に現実味をおびてきた、「パラオにいた頃は休みの日は歩いたってよ」、南米はなぜ戦後の日本人を受け入れたのか、「みんなブエノス病にかかったんだ」、先進国がパラグアイに持ち込んだ農薬の影、「かっていた場所」が故郷になっていく、
除草剤いらなかったらつぶれてたーパラグアイ・フラム・溝際孝市
パラグアイに到着、日本人はなぜパラグアイに移住したのか、あざみは棘がある・泣きながら食べた、「安全な南米で広大な土地を耕せる」、除草剤と遺伝子組み換え大豆、ラパスの「富士地区」に眠る家族、
二つの大和村を生きた夫ーパラグアイ・エンカルナシオン・中村博子
飛行機鳥を食べてしのいだ、引き揚げた子供は好奇心の目にさらされた、日本が海外移住を推進していたころ、本当に正弘さんのことが好きだった、居場所を選びなおす移民の子孫たち、
移民の子が大使になったーパラグアイ・フラム・田岡功
がむしゃらな開拓、「大使として日本に行きませんか」日本国籍を捨てて駐日大使に、
まとめ
父のいない戦後―札幌の平尾富士子、台風と格闘した開拓ー種子島の中川博司、遊水地に拓いた未来ー我孫子の玉根康徳、PTSDを呼び起こされる戦後ー那覇の上原良二、死亡も補償も認められない「16歳の兄の戦死」ー那覇の阿良光雄、靖国に祀られた母ー札幌の野村武、パラグアイからアルゼンチンへー埼玉の鈴木光、除草剤入らなかったらつぶれてたーパラグアイ・フラムの溝際孝市、二つの大和村を生きた夫ーパラグアイ・エンカルナシオンの中村博子、移民の子が大使になったーパラグアイ・フラムの田岡功の声を集録、日本人と日系人との橋渡しを図った、