天皇と軍隊の近代史

本書は天皇と軍隊という強力な磁場を持つ二つの言葉から日本近代史を論じたものである、著者は加藤陽子、東京大学大学院博士課程修了、現在は東京大学大学院教授、

天皇と軍隊から考える近代史

1天皇と軍隊・その特別な関係、朕が股肱と終戦工作、2軍の論理と「幕府」論の存在、天皇と軍隊の相克、3徴兵制と軍人勅語、天皇と軍隊の関係、4宮中側近への攻撃と満州事変の作為、陸軍の策動と3月事件、5共産主義の影、西園寺公望、6士官候補生の天皇観、基軸としての皇室、7事件の計画性について、計画隠蔽、8上海事変の持った意味とは、対日干渉、9皇族という不安と証書渙発、東久邇宮・木戸幸一・斎藤首相、

戦争の記憶と国家の位置付け

1戦争の記録、特攻と学徒兵、2日清戦争研究の現在、軍拡と戦争準備の進展、3日露戦争研究の現在、韓国問題

軍国主義の勃興

1日本の朝鮮観・中国観の特質、国内統治の権威づけ、2政軍関係の特質と構造、外征論・政軍関係・元老の役割と大本営、3日清・日露開戦の過誤と正当化の論理、韓国問題、4植民地帝国日本の権益と国際情勢、満蒙特殊権益の実態

第一次世界大戦中の「戦後」構想

1背景となる時代状況、横断的グループの形成、2会議録の分析、山東鉄道はドイツの国有財産か、3どのような論拠で利権を奪取するか、「交戦国のみ参列国」

1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか

1国際軍事裁判所条例の革命性、戦争違法性と指導者責任、2指導者責任論が成立した背景、国際犯罪、31930年代アメリカの「中立」、宣戦布告の可否を左右した中立法、4日中戦争を語る語彙から見えるもの、戦争の「かたち」だけ造型、

総力戦下の政・軍関係

1政軍関係論と第一次大戦、近代化と国民、戦争指導と二重外交、2統帥権の内実の変容、持久戦争論と奉勅命令、軍令部の権限拡大、軍部大臣現役武官制復活、3宣戦布告なき戦争、ナンバー委員会と企画院、大本営、興亜院、4対米英蘭戦争へ、近衛新体制、翼賛政治体制、戦争終結を目指して、「聖断」

大政翼賛会の成立から対英米開戦まで

1欧州情勢の激変と近衛新体制の始動、2国策決定の新方式と非決定の内実、3「革新」派の論理と大政翼賛会の成立、霞が関外交、4三国同盟の調印と自主的決定の確保、5国際関係のなかの日米交渉、

日本軍の武装解除についての一考察

1武装解除をめぐる攻防、東条英機、バーンズ回答中の武装解除、2昭和天皇と遼東還附の詔勅、講和を躊躇させたもの、遼東還付の詔勅、3アメリカのジレンマ、無条件降伏のくびき、南原繁と高木八尺、4実際の武装解除過程、8月14日の閣議決定、実際の指示書、終戦犯罪、

戦場と焼け跡のあいだ

「戦争中の暮らしの記録」東京大空襲の翌日、戦場ではなく焼け跡だった、日中戦争は外国が戦場、サイパン失陥により文明が滅びることを決意、伊丹万作「戦争責任者の問題」で軍や官に騙されたといっているが、一人や二人の智恵で一億の人間が騙せるわけではない、普通の人の暮らしの中の凶暴性を告発、

まとめ

天皇と軍隊から考える近代史、戦争の記憶と国家の位置づけ、軍国主義の勃興、第一次大戦中の戦後構想、1930年代の戦争は何をめぐる闘争だったのか、総力戦下の政軍、大政翼賛会の成立から対英米開戦まで、日本軍の武装解除について論じたものである、

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