勅撰和歌集の権威が確立した鎌倉時代、編纂は和歌所、いかなる手続きを経て編纂されたか、書物のもつ性格を考えながら考察した、著者は小川剛生、慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程退学、慶応義塾大学教授、専門は中世文学・和歌文学、著書「中世和歌史の研究・選歌と歌人社会」他
概要
和歌所とその源流、内裏の諸所、内御書所と古今集の撰者、梨壺の和歌所、拾遺集と拾遺抄、関白亭の撰和歌所、奉覧の定着、俊恵の和歌政所、開闔・源家長と歌人たちー新古今和歌、六位蔵人の家に生まれる、後鳥羽院政の開始、藤原定家との出会い、家長の和歌、和歌所の設置、部立の決定、撰歌の方法、撰者名注記と上皇の御点、部類と排列、竟宴の強行、終わりの見えない切り継ぎ、家長本の成立と隠岐本、その後の家長と和歌所、源家長日記の執筆と伝来、撰者の日常ー新勅撰和歌集、近代の悪評、後堀河天皇の治世、精励する中納言定家、撰進の命下る、勅撰集の理念、「新」字の謎、入集希望者への対応、公経の強要、「宇治川集」の渾名、隠岐と佐渡の影、完成まであと一歩のところで、事業の継続、巻頭と巻頭の対照、言語遊戯への関心、勅撰集のうちの国土、創られる伝統ー続後撰和歌集、為家の家業継承、定家歿後の花壇、後嵯峨天皇の践祚、後鳥羽院の復権、続後撰集の下命、創られる伝統、後鳥羽院と和歌所の扱い、神祇巻の住吉歌群、続後撰集の歌風と評価、続後撰集と百人一首、東西の交渉と新しい試みー続古今和歌集、将軍御所に置かれた和歌集、勅撰集の下命と撰者追加、撰歌と部類・院評定、竟宴と宗尊親王失脚、続古今集の異風、物語和歌と勅撰集、為家のの姿勢、和歌所を支える門弟ー続拾遺和歌集、源兼氏ーもうひとりの和歌所開闔、撰歌を門弟に委ねる、住吉社歌合・玉津社歌合、為氏卿記ー文永7年の宗匠一家、御子左家の分裂、続拾遺集の下命、寂恵上洛す、顔色を失う和歌所の衆、勅撰集は公器か、為教父子と寂恵、阿仏尼の存在、打聞と二条家和歌所ー永仁勅撰企画・新後撰和歌集、勅撰集と私撰集-打聞とは何か・「私撰集」うちきき類聚歌苑と続拾遺集、伏見天皇と永仁勅撰企画、雅有の遺品に残る撰歌、為世の打聞ー承空本私家集の紙背文書、勅撰企画の挫折、新後撰集、和歌所の組織固め、武士の入集、洛中武士の扱い、おそろしの集ー玉葉和歌集、鎌倉期の家譜代化門相論、職と学芸、譜代か器量かー課試、訴陳の時代、相論の論点と顛末、玉葉集の成立、歌風の特色ーおそろしの集、構造的な古歌の配置、批判の声、為兼の失脚と配流、法皇歌ー続千載和歌集、二条家和歌所の活動、津守国冬の富強、続千載集の下命、奏覧と返納の分離、評価と批判、統一されない本文、為世の独善、顕教密教を詠む長歌、作者の下地になる打聞、倒幕前夜の歌壇ー続後拾遺和歌集、続後拾遺集の下命、撰者の交替、歌道を詠んだ歌群、得宗被官の入集、二八明題集と二八要抄、勅撰作者部類の成立、藤原盛徳の願い、勅撰和歌集について知りたい方におススメ
感想
勅撰和歌集の権威は鎌倉期、下命は治天の君、編纂は政治日程の上の位置にある、
まとめ
和歌所とその源流、開闔・源家長と歌人たち、撰者の日常、創られる伝統、東西の交渉と新しい試み、和歌所を支える門弟、打聞と二条家和歌所、おそろしの集、法皇の長歌、倒幕前夜の歌壇を考察、勅撰集の編纂と継承を明らかにした、