百姓・町人・芸人の明治革命

本書は明治の庶民の自由民権像を追求したもの、著者は津田正夫、京都大学卒業、NHK入局、アナンサー・ディレクター・プロデューサーとして主に報道番組の制作・開発に携わる、2002~12年立命館大学教授、

板垣死すとも自由は死せず余聞ー暴発前夜の自由民権運動

土佐の板垣退助像が岐阜公園に、「イギリス型・立憲君主制」を目指して、「弁士中止・解散」の自由党遊説、「将来の賊」・暗殺未遂、岐阜は「革命前夜」に、相次ぐ士族たちの反乱、土佐・立志社が率いた国会期成同盟、恐懼して勅使を迎えた自由党・天皇の見舞金、岐阜・末広座で「花吹雪伊奈波の黄昏」・事件の芝居化、「板垣死すとも自由は死せず」の真実、広がる激化事件と抑え込む政府、身分制に抵抗した板垣、岐阜板垣会・板垣国和さんに出会う、岐阜人は芝居好き?

自由言論のビックバンー演説と新聞が拓いた文明開化

テレビに脅える権力者たち、沸騰していく演説会、民権運動のふ卵器になった「愛岐日報」、「美濃に自由党を創ろう」、県令に狙われた岩田徳義、初めて新聞を創った漁師ジョセフ・ヒコ(浜田彦蔵改名)、「公共空間のビックバン」とジレンマ、日本人は新聞が読めたのか、懇親会から始まる政党・結社、狙い撃ちされた「濃飛自由新聞」、国会に失望して自由党を去る岩田、「酒屋会議事件」と「天皇不敬罪事件」、土佐では「新聞の葬式」に一万人、言論・表現の自由は実現したのか?

王政復古という蜃気楼を追ってー旗本・坪内高国の生涯

軍都に変貌した各務原、「天下分け目」の各務原、直参旗本になった坪内氏、鎌倉武士の誇りを背負って、将軍を守った宗家と官軍に参じた分家、博徒たちを手なずけて戦った戊辰戦争、博徒民権運動と「名古屋事件」、よみがえった坪内陣屋、膝に妻の足をのせて、維新で没落していく高国、天皇の巡幸を警護した高国、徳川復古を夢見て愛国交親社へ、ことごとく失敗していく愛国交親社、解体していく高国の家族、最後まで自慢の黒髪を気にした妻を有髪にして埋葬、口をつぐんだ男たちに代わって妻・母たちが子孫に伝えた、

百姓たちの民権一揆ー素顔の美濃加茂事件

「地租を百分の一にせよ」、「松方デフレ」が招いた減税一揆、伊勢暴動「ドンと突き出す二分五厘」、多様だった「農民一揆」、歴史から消された「博徒」運動家、「博徒なる自由党員」、「加茂事件」を追って、リーダー・小原佐忠治の素顔、参加者たちそれぞれの身の上、佐忠治の子孫を訪ねて、「あっせせいてんぷくせい」/転覆踊りで抵抗、隈板内閣の瓦解と専制政治への道、

権利幸福きらいな人に自由湯をば飲ましたいーオッペケぺーと近代演劇の成立

日本にデビューした自由民権ラップ、逮捕は百七十回・投獄は二十回、政治家を選ぶか?役者になるか?西洋演劇に目覚めた音二郎、日本初のギリシャ悲劇を上演、手漕ぎのボート「日本丸」で海外へジャポニズムに油をそそいだ川上一座、貞奴のパフォーマンスに魅了されたヨーロッパ、改革されていく演劇、「女優」がいなかった日本、パリ万博で録音された「オッペケぺー」、踊る貞奴を見ることができる?もう一つのオッペケぺと福田善之、安保反対運動挫折の中から、叛乱を起こす小劇場運動、紅テント「二都物語」の衝撃/植民地朝鮮テーマ、特権的肉体というイリュージョン・既存権威の破戒、

とかく世間のさげすみを受けて口惜しき身なりしをー女優川上貞奴のたたかい

日本初の女優になった貞奴、はじける貞奴パワー・各務原、難産だった「女優・貞奴」の誕生、男女両性からなる役者集団を創りたい、なんとかして夫人が独立して活きる方法は、お伽芝居を子供たちに、貞奴の苦境に寄り添う桃介、電電開発に乗り出す桃介のパートナーとして、「貞奴の早変わり」川上絹布を開業、花ひらいた最後の夢・川上児童楽劇団、「学校劇の禁止」に抗して、最後の演技を披露した貞照寺落慶、茅ケ崎で蘇った音二郎・貞奴、音貞ゆかりの地をZOOMで結んで、男伊達ならこの川とめてみよ・激流を止めた桃介、近頃は周りにクマも出るので・ラジオをかけクマに聞かす、

わが村を滅ぼした足尾鉱毒事件ー殖産興業・富国強兵への道、

足尾鉱毒事件との衝撃的出会い、ルーツの謎解きを始めて、「正義派か売村派か」という二者択一、民衆そのものを欠落させてきた近代史、産業革命の中核・足尾銅山の功罪、民を殺すは国家を殺すなり、各地に広がる労働争議と暴動、日清・日露戦争に駆り出されて移住地北見のハッカで生き延びた曽祖父、小池喜孝さんからの手紙、サロマに歌舞伎を起こした川島平助、谷中村崩壊の実像が描かれて、近助はなぜ劇場を持っていたのか?歌舞伎と演説

専制国家と天皇を受け入れた日本人ー文明開化・近代国家の代償

お偉い外国人の活躍、続々と西洋に留学生を送って、犠牲が少なかった明治革命、虫送り・雨乞いも廃止して、武装反乱から公儀・公論へ、自由民権運動の評価、美濃の民権運動は特異だった?天皇神格化のために全国行脚、名実ともに終わった自由民権運動、「伝統的歴史学」と「新しい歴史学」/民衆史、「天皇」や「恋愛」を受け容れた社会、どうして民主主義が根付かなかったのでしょうね・同調、「鉱毒に消えた谷中村」が問いかけたこと、「裏切り者」左部彦次郎の生涯をめぐって・現実的な村民救済、鉱毒被害者たちの「百年目の再会」、「失われた歴史を」を取り戻すこと、

まとめ

本書は庶民の近現代史を発掘孝してきた小池喜孝の民衆史の視点から自由民権運動を解き明かしたもの、masa&aiboの対話形式採用、同人誌・追伸「美濃の自由民権を訪ねて」を転載、

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