アマゾン五〇〇年

本書は覇権争いを繰り広げた西欧諸国、アメリカの奴隷・イギリスのゴム・日本の移民を取り上げ、植民と開発を描写したものである、著者は丸山浩明、筑波大学大学院地球科学研究科博士課程修了立教大学文学部教授、専攻は地理学・ブラジル研究・移民研究

アマゾンの原初的風景

1多様な自然環境、アマゾンの領域と形成史、アマゾン水系の特徴、氾濫原と台地のコントラスト、2先住民の生活世界、先住民の起源と人口、先コロンブス期の先住民社会、先住民の伝統的生活様式、

ヨーロッパ人に発見されたアマゾン

1西欧列強の進出と覇権争いー16~17世紀、アマゾンの発見、西欧列強の覇権争い、ポルトガルのアマゾン遠征、同君連合からからの解放、2ポルトガルの先住民政策ー16~17世紀、カトリック修道会の進出、先住民奴隷化の抜け道、ヴィエイラ神父の奮闘、3ポンパル侯爵の専制政治ー18世紀、ポンパルの統治戦略、イエズス会の追放、独占的貿易会社の設立、アマゾンの領土画定、4王室のブラジル移転とアマゾンの混乱ー19世紀、王室移転と仏領ギアナ侵攻、ブラジル独立とカバナージェン、

アメリカの進出と南欧移民の導入

1アマゾン川の開放を迫るアメリカー明白な天命の南進、モーリーの黒人植民論、モーリーの緻密な策略、アマゾン川の開放をめぐる攻防、2南北戦争とアメリカ黒人の国外移転、リンカン政権と黒人植民論、私掠船の暗躍、3南部連合支持者たちの逃亡ーヘイスティングスの植民計画、理想郷となったブラジル、ヘイスティングスの野望、アマゾン移住の夢と現実、人種規範の違いが招いた挫折、4南欧移民の導入、奴隷制廃止と南欧移民、ポルトガル人移民、スペイン人移民、イタリア人移民、

ゴムブームの到来とイギリスの策動

1第一次ゴムブームと旱魃難民、第一次ゴムブームの到来、セリンゲイロとなった旱魃難民、2イギリスの策動ー天然ゴム世界制覇への道、ウィッカムのアマゾン探検、アマゾン移住とゴム種子採集、ゴムブームの終焉、3悪魔の鉄道建設とアクレ紛争、アマゾン川を目指したボリビア、鉄道建設の開始と中断、アクレ紛争の勃発、4鉄道の開通と悲惨な運命、鉄道建設の再開、鉄道の完成とその代償

過熱する日米の覇権争い

1アメリカのゴム戦略とフォード社の進出、ゴム戦略とヘンリー・フォード、フォードランディアの建設、ヘンリー・フォードの誤算2日本人のアマゾン進出ー排日の安全弁、南アメリカに向かった日本人、アマゾンは排日の安全弁、3パラ州におけるアカラ植民地の建設、コンセッションと福原調査団、南米拓殖株式会社とアカラ植民地、4アマゾナス州におけるヴィラ・アマゾニアの建設、コンセッションと上塚調査団、日本高等拓殖学校と高拓生、5戦前の日本人植民地と移民の動向、戦前の日本人植民地、移民の定着・転出状況、6排日・黄禍論に翻弄された日本人移民、満州事変と排日運動の再燃、狙われた上塚コンセッション、風刺画に見る排日とアメリカの影、

第二次世界大戦とアマゾンー悲劇のゴム兵と日本人移民

1アメリカのアマゾン介入ーワシントン協定とゴム戦略、軍事戦略とリオ会議、ワシントン協定、2悲劇のゴム兵、ゴム兵になった旱魃難民、ゴム兵の徴用と移住、ゴム兵の末路、3戦中・戦後の日本人移民ー適正外国人の試練、植民地の瓦解と強制収容、戦後アマゾン移民の顛末、

アマゾンの現在的風景

1アマゾン開発と環境破壊、軍事政権下のアマゾン開発、アマゾン政策の矛盾、止まらない森林破壊、2追われる先住民ー人権と環境を守る戦い、先住民法制とその限界、国勢調査が語る先住民、3国際化の中のアマゾン、開発と環境保護の相克、アマゾンの未来、

まとめ

アマゾンの原始的風景、ヨーロッパ人に発見されたアマゾン、アメリカの進出と南欧移民の導入、ゴムブームの到来とイギリスの策動、過熱する日米の覇権争い、第二次世界大戦とアマゾン、アマゾンの現代的風景で構成、本書はアマゾンで繰り広げられた移植民を「多国間のグローバルな関係性」の中に位置づけたものである、

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